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カテゴリ:本
年末からちょっと調子の悪かった時に、 家にこもって読んだ本です。 ☆桐野夏生 「残虐記」 桐野さんは実際の事件をテーマに描く事が多いのかな?? (グロテスク、リアルワールドも実際の事件を彷彿とさせました) この小説も、実際起こった最悪の児童監禁事件を思い出させます。 うらむべきは犯人で、決して忘れてはいけない事件だと思うけど、 被害者やその家族にとっては、一刻も早く忘れたい(忘れて欲しい)事なのでは。 その事件を題材にこんな小説を書いてもいいのかな?というのが第一の感想です。 この本が人目に触れる限り、事件を忘れていた人まで思い出してしまうと思うから。 でも、この本を読んで、 本当の事は当事者にしか分からないという当たり前の事や、 何があったか想像して、勝手に同情したり軽んじたりするのは部外者の私達で、 それは被害者にとってものすごく酷い事だという事に改めて気付きました。 乱暴された女性が、警察に被害届けを出さない事が多いというのは、 そういう二次被害を恐れての事ですよね。 自分も女だし、子供も居るから本当に怖いと思いました。 大人なら引越しなり天職なりで、周りの環境はリセットできるけど、 子供はそういう訳にもいかないだろうし・・・。 大人でも子供でも、嫌な事を自分の心に抱え込んで生きていかなきゃいけないのは辛いけど、 子供にそれを強いるのは本当に酷いと思います。 ☆篠田節子 「ハルモニア」 私は音楽的才能がないし(よく音痴だと言われる。自覚なし。)、 楽器も弾けない(子供の頃にピアノを習って挫折)けど、 人を感動させるような音が出せるってすごい事なんだと思いました。 その為に人生をささげても惜しくないのかも。 凡人の私には分かりませんが、 こんな私でも、チェロを弾いてみたいと思ってしまいました。 面白くて、最後まで一気に読めたけど、 少しオカルトっぽいというか、現実味がなくて残念。 ☆山田詠美 「風味絶佳」 山田詠美さんは、昔から大好きで、 この短編集もすごく良かったです。 もう山田さんの作品は、特に短編ではストーリーがどうこうじゃなくて、 日本語の選び方や、文章のセンスを楽しむ物だと思っているので、 この作品でも思う存分堪能できました。 もちろんストーリーも素敵でしたが。 初めて山田さんの作品を読んだのは、 高校生の時で、放課後の音符(キイノート)でした。 主人公は女子高生で、舞台は学校や放課後の風景だったので、 共感と憧れと共に愛読していました。 さすがに30を超えた今では、懐かしさと共に読み返す事はあっても、 そんなピュアな気持ちには戻れそうもありませんが、 この短編集でまた素敵な気持ちにさせてもらいました。 やっぱり山田詠美さん大好きです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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