テーマ:お勧めの本(7389)
カテゴリ:....書棚
法学者であった末弘厳太郎のエッセイを、
弟子である川島武宜がまとめたものである。 両先生ともにwikipediaに記述がある。 はしがきに相当する「解題」に、 編集方針や編集の動機が述べられている。 「上」とあるからには、「下」があるが、 上・下では、編集方針が異なっている。 一般向きに編集されているのが、「上」である。 「下」は年代順に整理されており、 当時の事情や末弘厳太郎先生の思考遍歴を 辿るのに都合がよいようになっている。 上と下で、エッセイが重複していることはない。 編者が、著者の膨大なエッセイから選んで、 それらを上下に振り分けて、 「上」はテーマ別に、「下」は年代別にと、 異なった方針で編集している。 因みに、本のサイズはコンパクト版である。 この2冊を読んでみようと思ったのは、 「解題」にある次の記述からである。 === 社会の現実の必要にかんがみると、法律上の定めを厳格に文字どおりに守るわけにはいかないので、法律のことばの意味を操作して、あたかも法律を条文のことばどおりに守ったかのごとき外形をつくる行為を、この「嘘」ということばは意味しているのである。しかも、このエッセイは、このような行為の内容や機能を説明するにとどまらず、むしろそのような行為だけでは社会の需要にこたえるのに不十分・不適切であることを明らかにした上、むしろその手段としては、法律改正という方法のほかに、法律学が果たすべき役割があることを指摘... === 「嘘の効用」は、 佐高信編の「役人学三則」(岩波現代文庫) にも収められている。
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