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『 幽霊蜘蛛 』 さよはじっと見ていた。 瞬きもせずに 見ていた。 蜘蛛の巣 そこに動かずに糸を張っている幽霊蜘蛛 死んでいるのかも 2~3日前からキッチンの窓辺に巣を張っている そして 今日は朝から動かない 同じ場所でジッと動かない さよは 瞬きもせずじっと見続けた。 「 なにを見ている あっちに行け 」 幽霊蜘蛛はいきなり話始めた 「 生きていたのか 」 「 寝ているだけだ気が散って眠れない 私は夜行性なんだ 人間にとっての昼は私にとっては人間の夜 」 「 てか 昼も夜もそこにいたぞ 」 「 うるさいやつだ 昼は眠って 夜は獲物がかかるのを待って動かないだけだ ガサガサ動いていては 獲物が警戒するやろ 」 「 生きていく為に蜘蛛も命がけやね 」 「 そんな 大袈裟なものでない 」 蜘蛛は家の守り神 殺してはいけないとばあちゃまが言ってた でも こいつは生意気だからひと思いに殺そうか。 「 私を叩き潰そうと考えているね 」 「 えっえ~~ 考えていることが分かるのか 」 「 自然で生活しているものには全部霊が宿っている 愚かな人間が知らないだけだ 」 「 てか ジッと動かないで生きてくのって 張り合いなくない ? 」 「 私からすると 人間の方が無意味な生き方をしている 生き物は 生きるためと子孫を残す事だけを考えて生きればいい その他に何が必要なのだ 私は ゴキブリの子供やコバエを食する 彼らは 繁殖率が半端ない なので その異常な繁殖率を防ぐ為に生まれたようなもの 」 「 それって 蜘蛛に食べられるからいっぱい卵産むんじゃないの 」 「 そうともいう 弱い生き物は子孫を残す為に大量生産しないと死滅する 小さな生き物が死滅すれば やがて巡り巡って自然崩壊に繋がる そうなると 人間もおしまいです 」 そう言うと蜘蛛は眠りについた 次の日思い立って話しかけても 蜘蛛からの返事はなかった じっと動かず獲物を待っている蜘蛛 せかせかと動き回る日常に疲れ切っている日々が虚しく思えて来た。 またです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年05月24日 12時26分33秒
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