momaと素敵な仲間たち（＾０＾）

　　　　　　　『　　　　10円玉のプレゼント　　　』





　少女は胸をときめかせて歩いていた。
　もう少し　もう少しで逢える

　何時もの学校の帰り道
　そのベンチに腰かけている少年に少女は心奪われていた
　名前も知らない　週1金曜日
　少年は　そのベンチに腰掛け本を読んでいた
　そしてそのベンチの隣には決まったように老婆が座っている

　ベンチに近づくほどに鼓動は高鳴り今にも破裂するのではないかと
　自分ながらに心配するほどだ。




　歩道の左手には小さな川が流れ向こう岸には広い畑が続いている　
　畑の後ろに林が見え　その向こうには山が見える
　夕焼け空の雲のしたに　緑の山々が連なり　カラスが住処に帰って行く

　歩道の右手に　ベンチが２つ　その後ろにはちょうど良いくらいの公園がある

　少年が見えて来た
　深呼吸を2回　まだまだもう1回

　ん・・・・・　今日は1人　何時もの老婆が居ない
　チャンス　あそこに座ろう
　座ろうと思った瞬間から　どうにも歩行が怪しくなってきた
　どうにか歩いているがその姿はまるでロボコップ。

　近づくにつれ　何かしなければ　そだ　スマホ
　バックを開けてスマホを取り出す瞬間
　小銭がバラバラと零れ落ちた

　あ・・・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・・
　・・・・・・・ぅぅ・・・・・・

　焦れば焦るほど　自分の滑稽な姿に涙が出て来た
　あっちにもこっちにも・・・・小銭を拾い集める

　少年が　ポツリと言った

　「　ここに10円玉おちてますよ　」

　「　ありがとうございます　」
　

　10円玉を受け取るや否や一気に駆け出した
　なんてことなんてこと



　

　眠れない日々が続き毎日枕が濡れるほど泣いた
　そして　金曜日が来た



　逢いたい・・・・　そだ逢ってお礼を言おう
　お礼を言うんだ

　何時ものベンチに今日も老婆はいない
　少年は一人 本を読んでいる


　ベンチに近づくにつれ少女の心は悲しみに溢れた
　言えない・・・お礼も言えない。
　自分の不甲斐無さに涙が込み上げて声を発する事さえできないでいた
　前を通り過ぎようとしたその時

　「　あっ　ねぇ　10円玉　もう1個落ちてました　」

　少女の目からどうにもならないほどの涙が溢れだし　声にならない言葉が飛び出した

　「　ありがとうございます・・　その・・お礼したいです　」




　少年はビックリして　そして微笑み


　「　そか　じゃ寒いからホットココアね　　
　　　10円じゃ　買えないか　笑　」


　少女は更に泣き出した。










　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　またねぇ～～