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『 アリア 』 「 先生 私 暫くピアノは弾けません お願いです 私をはずしてください 」 「 何を我儘言ってるの この1年練習してきたのは何の為 この コンサートで地域の人達に喜んでもらうためでしょ 」 「 ですが先生 私の指は動きません 暫く ピアノは弾けないのです 」 「 先生 昨日 その子がピアノ弾いてるのを見ました 」 A子が叫んだ 。 「 その子さん あなた ! コンサートは1週間後です 」 「 先生 ・・・・・・・ 」 昨日の学校の帰り道 何時もの様に自転車に乗り学校を出た コンサートが近い事もあり 下校時間ギリギリまで 学校で練習していた 私の家には ピアノが無い そして 働く母の代わりに角のスーパーに向かった瞬間 転んだ ・・・・・・・ 人が 飛び出して来たのだ 「 気をつけろ ! 」 そう叫ぶとその男は走り去って行った。 私は起き上がることができなかった 後ろで クスクス 笑い声が聞こえる 首をねじったのか振り向く事もできない 「 あらら 転んだのお気をつけて 私たち急ぎなので ごめんなさいね 」 そう言うと A子と2人の少女は通り過ぎて行った。 起き上がろうと膝を立てた その時 「 私の名前は アリア さっ手につかまって 」 「 ありがとうございます 」 「 お買い物? 出来る? 」 「 大丈夫です 」 「 あの子たちには気を付けた方がいいわね 」 「 えっ ? 」 「 そのうち分かるわ 」 私は スカートの泥をパンパンとはたいた ピッキ 激痛が指に走った 手をついて身体を支えたのだ 「 イタッ !! 」 いつの間にか 少女がいない 見回してみても 何処にもいない 彼女を何処かで見た気がした 懐かしささえ感じていた 買い物をすますと 家に帰り 夕食の支度を始めた 今日は カレーライス 母が帰って来た 「 その子 ありがと 」 「 母さん お風呂沸いてる 出る頃には カレーができてるわ 」 指が痛い でも母には言えない コンサートの事も ピアノの事も言ってない 母には要らぬ心配をかけたくなかった ピアノの事を言ったら きっと レッスンに行きなさいと言うと思う そんな 負担はかけたくない 指が痛い 明日先生に謝ろう 私が外れたらきっと A子が代わりに弾いてくれる そう思ったのに あんなに コンサートで弾きたいと泣いていたのに A子の家には ピアノもある レッスンも受けている なのに 私が選ばれた コンサート当日 入口にアリアを見つけた私は駆け出した 「 アリアさん この間はありがとうございました 」 アリアはニッコリ微笑むと 「 今日はお母さま見えられているわ 頑張って 」 そう言うと私の手をしっかり握りしめて ポンポンと優しく叩いた。 「 母が ? 母とお知り合いですか? 」 「 その子さん あなたも良く知ってる 」 そう言うと会場に入って行った。 私は舞台の上から 母を探した 母は 私を見つけるとビックリして 隣の女性に 「 私の娘です 」 と囁いた。 会社の同僚である。 会社の社長はこういった催しが大好きで 長期勤務者に参加を促したのだ 隣の人が隣に その隣の人が隣に 社長の耳に届くと社長はたいそう喜んで 大きな拍手をした。 私は右手を小さく挙げた 母も小さく手を挙げ返して 微笑んだ 演奏が始まった 私の指は今までの痛さが嘘のように快適に動いた 母は 娘の姿が見えぬほどに涙で頬を濡らした。 数日後 A子とその仲間は校長室に呼ばれた 私が自転車で転んだ映像がSNSにUPされていたのだ 「 よくやったわ あの子立てなかったじゃない ! きっと 指も怪我してるわよ いい気味 コンサート失敗すればいいのよ 」 男とA子達は笑いながら ファミレスに入って行った それを偶然見ていた若者が SNSにUPしたのを 学生が見つけて先生に報告したのだ。 A子達の行為は学校中に知られることとなった。 私は 久々母と2人でフルーツパーラーに来た 何時もの席 何時もの チョコレートパフェ しあわせ ここのパフェ大好き そして この絵 何時でも悩みを聞いてくれる 『 海を見る少女 』 「 アリア ! 」 少女 ・・・ アリアさんだ そうだったの ほんとに 私も 良く知ってる アリアさん ほんとにありがとう またねぇ~~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年03月14日 22時29分07秒
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