全ての日々
砂のように一瞬にして崩れ去った砂の家。簡単に壊れてしまう。其の儚さはずっと心に残ったまま。私が気付かなければ良かったのだろうか。もしくは気付いても知らない振りをしていれば其のほうが良かったのか。前々から疑惑は持っていた。以前の私なら、其の時点で詮索して問いつめていただろう。でも、其の権利が無いと思っていたから今日迄、普通の暮らしをしてきた。もしも、私がずっと気付かずに何も知らないままだったらどうなっていたんだろう。ずっと今の生活が続いていたんだろうか。他の理由で離婚する事になっていたかもしれない。お互いに見つめ直して前に進めていたかもしれない。其れは今となってはもう分からない。私は怒っている訳じゃない。ショックはあったにしろいづれはこんな日が来るような気がしてた。こうなっても、しかたないと。家に寄り付かなくなっていたのも分かっていた事だし私に対しても気持ちが変わってる事も伝わってきていたから。だから、突然の事、だけど突然過ぎる事、でも無いのだ。朝、話している時は比較的落ち着いて話していたけれど所々、憤慨しそうになったのも事実。相手は高校生。12月あたりから付き合いは始まったらしい。私はてっきり1月にODした後からなんだろうと勝手に思っていた。多分出会い系サイトで出会ったのだと思う。旦那は言った。『今まで病気を理解しようとしても 突っぱねられたし、何度も死のうと しようとするのも限界だった。 恋がしたかった。 どっかに遊びに行ったり 楽しい事をしたかった。 でも、桃尻には出来ないでしょ。』私は突っぱねたつもりは無かった。でも、そう受け取られてしまっていた。実際、殆ど引きこもりの私はつまらない人間だろう。健康で普通の女の子のほうが数倍、魅力的だろう。だから、其の点では何も間違っていない。けれど『病気についても やれる事はやった。』そう言われた時に私の中で、怒りを感じてしまった。怒りというか、え?という感じ。確かによく耐えてくれていたと思う。私の我侭な行動も認めてくれていた。でも、私は旦那が鬱や摂食障害等の病気について知ろうとしてくれたりしてくれたのを見た事が無い。仕事が忙しいから結局いつも病気について話す事もあまり出来なかった。母が持ってきた鬱の本も読まないまんまだった。私の事を理解しようと本気でしていたのか、其れが私には分からなかった。彼女とはどうするの?と聞いたら『正直、別れたくないね。 彼女がいるから頑張れるトコもあるし。』余りにはっきりそう言われたので気が動転して、意地悪な事を言ってしまった。『貴方がいなくても 死ぬ訳じゃないでしょ。』と。其の返答にまたショックを受けた。『死ぬかもしれないね。 彼女は親にも愛されてなくて 友達もいないから。 だから、俺が力になってやりたい。』其れは高校生の頃の私と同じじゃない。私の事を見捨てて其の子を助けるの?そう思った。結局、出勤時間が迫っていたので話は中途半端で終わった。でも、はっきり旦那は言った。『彼女と別れたとしても またおんなじ事を繰り返すかもしれない。 桃尻に対してはもう保護者的な感情しか 抱いてない。』私は、自分でもびっくりするくらい落ち着いていた。いや、落ち着いている振りが出来た。気持ちは苦しいものだったがしかたない、という思いのほうが強かったんだと思う。旦那は出かけ際に『両親(うちの)に連絡しておこうか?』と聞いてきた。私が何かバカな事をする可能性が高いと思ったからだろう。私は其れを断った。母や父と一緒に居るのもきっと苦痛になってしまうから。死んでしまいたい、そう考えがよぎる時もある。でも、死ぬなら此処では死にたくない。誰も居ない場所で死にたい。自分の罪を受け入れながら甘えの無い死に方をしたい。『責めちゃいけない』そう親友に言われた。確かにそうだ。責めちゃ駄目なんだよね。涙が止まらないのはきっと自分の所為だろう。