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今年の四月から仕事が変わり、四十年ぶりの新人となった。シニアだけど一年生である。まったく違う世界に飛び込んでしまい、慣れぬ事務作業、電話対応にアタフタしている。几帳面さに欠ける私はこういうことを避けるために事務職でない仕事を選んだのに。予想通り落第生だ。
それでも平日に休めるようになったのはやはりありがたい。ここ数年かなり無理をしていたのだと実感する。 休みを取れるようになったら何をしようかと、三月にはわくわくしていた。平日の動物園や水族館に行きたい。近場の自然公園でお花見もしてみたかった。 ところが現実は、今まですべきだったのにやらなかったことをやるのが最優先となった。銀行や病院行きという楽しくない予定ばかりで、終わると昼寝をする日々だ。 自然の写真を撮ってSNSに上げようと思っていたのに、気付けば桜は散り、ハナミズキも落ち始め、藤の花は今年も見に行けそうにない。すべては私がぐうたらと寝ていたい誘惑に負けるからなのだ。 それでも、まだ一年生として始まったばかりだ。諦めずに挑戦していくためにはどうしたらいいか。 先日、夢の中に父が現れた。経理、営業とこなしてきた父は几帳面だった。今の私の事務能力を見たら呆れ返るだろう。 父の最期に当たって、母とはさんざん揉めてついに縁が切れてしまっていた。父が可哀そうだったからだ。でも父は私と母の不仲をたとえどんな状況にあろうと望まなかったということを夢のあとで思い出した。 今度の仕事では高齢者と関わることが増えたので、私のなかで母に対する思いが変わりつつある。高齢者は不安が強いのだ。行政でできることには限界がある。 今の仕事は、最後の人生での宿題、高齢者である母とどう向き合うかということを考えさせるために与えられたように思う。 作戦として、自然を見に行くためには母を巻き添えにしようか。強情な母だが私が近隣の花を見たいから付き合ってほしいと言えば誘いに乗るかもしれない。近隣には小動物園があるから、ヤギを見たいと言えば聞いてくれるかもしれない。母のためになどと言ったら絶対に断ってくるから。 どうせなら楽しく行こう。その前に昼寝の誘惑に勝たなくてはいけないが。なんともだらしのない一年生である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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