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カテゴリ:読書
湊かなえさんの「母性」を読みました。
母と娘について書かれていて、映画化もされたようです。 でもいわゆる毒母ものとはまたちょっと違う感じを受けました。 大人になりきれなかった母親、いつまでも自分の母親に甘えていたくて、我が子には愛情を持てなかったというストーリーです。 心理学的に言うと愛情深く育てられた人は愛情深い母親になれる確率が高いのですが、そこまでは解析されていませんでした。 うちの娘も「自分が一番可愛いから、こどもいらなーい」なんて言って親をがっかりさせてくれていますけどね。 そうそう、この娘さんは母親に触られると強い拒否反応を示していて、そこは共感できました。もちろん、触覚過敏だったりする例もあります。しかし、多くは乳幼児期からのスキンシップ不足、何度も拒否された経験を脳が無意識に記憶しているから体がそう反応するのです。 私は赤ちゃんのときのことは覚えていませんが、物心がつくと、母が人前だけでは抱っこしてくるので強い拒否感、違和感を覚え、気持ちが悪くなったのを覚えています。 小学校六年生のとき、友達親子と四人連れで映画を観に行ったことがあります。 「王子とこじき」という洋画でした。母は子どもに合わせた映画を観に行くのは腹の立つことだったのですが、このときは友達母に誘われて断れなかったようです。 映画へ行く道々、友達はお母さんと手を繋いで歩き、とても楽しそうでした。可愛がられて育ったのが12才の、私にもよくわかりました。 私たち親子は少し距離を置いて歩きました。母は私が手を繋ぎたがらないのを知っていたと思います。 それは遡って四年生のとき、父と母と3人で新宿の飲み屋街を歩いていたときでした。 母はビールも飲んで程よく酔って機嫌が良かったのでしょう。何度も私と手を繋ごうとしました。私は手をパーに開いたまま、絶対に握り返しませんでした。 3回目に、母はいつものように悪魔の囁きを私の耳元でつぶやきました…父には聞こえないように。 「あんたが手を繋げないように手を広げてるってわかってるんだからね」 母なりの牽制だったのでしょう。 私がそうなるまでに、多分私はたくさん意地悪されたり放置されていたんじゃないかなと思うんですよね。 幼稚園のときに既に、母の膝に乗るのが嫌でたまりませんでした。たまらない嫌悪感に襲われるからです。 時は過ぎ、私も母となり、不思議だなあと思ったことがあります。 娘は小学校6年生になっても私が帰宅するとハグしてくるし、中学受験が終るまで私と一緒に寝ていました。私とは全然違うなあ。 湊かなえさん、渾身の作だそうです。未読の方はぜひどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 9, 2024 11:35:49 PM
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