『カサブランカ』 Casablanca 午前十時の映画祭
午前十時の映画祭で、『カサブランカ』を観て来ました。DVDでは観たことあるけれど、もちろん映画館では初めて。アメリカへの亡命を図るヨーロッパ人たちの寄港地である、フランス領モロッコのカサブランカ。そこで酒場を経営するリック(ハンフリー・ボガート)。彼は昔の恋人エルザ(イングリッド・バーグマン)と再会するが、彼女には反ナチ運動を指導する夫がいた。ドイツ軍侵入直前のパリで、リックはエルザと一緒に脱れることを、約束していた。が、約束の時間に彼女は姿を現さず、 そのまま消息を断っていた。エルザに裏切られながらも、いまだに忘れることが出来ないリックは、夫を助けられるのは通行証を譲り受けたリックしかいないと、必死に協力をお願いする。しかしリックは、再び目の前からいなくなってしまう女性を前にして、今でも愛していると本心を打ち明ける。名台詞てんこ盛り。「ゆうべはどこにいたの?」「そんな昔のことは覚えていない」「今夜、会える?」「そんな先のことはわからない」ってそんな台詞、ハンフリー・ボガートしか言えないよ。他のヤツが言ったら、は?痴呆症?なんて言ってしまいそう(爆)。Here's looking at you, kid.も文句なく名台詞だけれど、これを名台詞たらしめてるのは、「君の瞳に乾杯」という訳かも。これ以外の訳なんて、もう考えられない、当てはめられないほど、リックのロマンチストでハードボイルドさを完璧に現してる訳は、ないんじゃないかと。何ものにも同情しない、冷静で孤独な一匹狼に見せていながら、その心の奥には、忘れられない女がいる。その女に裏切られたにも関わらず、忘れられない。なんというロマンチスト。昔裏切られた女の、必死の願いをすげなく拒否しつつも、最後には自分の愛よりも、自分の愛する人を守る。自分の愛する人が愛する人を、助ける。なんというハードボイルド。そんなリックを逃そうとする警察署長との、なんという男の友情。夫を逃すために、昔の男にすがるイングリッド・バーグマン。彼女も、リックのことを心から愛していた。しかし、夫の仕事をも尊敬している彼女は、愛し合ったにも関わらず、裏切り、憎まれているだろう男を頼らざるを得ない。まぁ自分の美しさを十分認識し、それを最大権に利用している、と言ってしまえばそれまでだけども。そんなイングリッド・バーグマンが美しい。今更言わずもがな、ですけれども。これまた白黒ってのが一層、美しさを引き出すというか、引き立てるというか。影と光だけというのは、なんと美しいことか。女の美しさと男の美学が際立つ名画でした。オリジナル・サウンドトラックランキング励みになります♪↓ ↓ 映画レビュー