A先生
保育園の先生がやめることになった。 やせっぽちで眼鏡をかけてもしゃもしゃ髪の好青年。ソフトな語り口だが子供には人気があった。 この先生が来るまではかなりクラスが荒れていて、ムスメの顔にひっかき傷がつづいたこともある。保育園の教育プログラムには信用があったが、当時の先生の力量に問題があったといわざるをえない(いまでも先生によってはちょっと怪しい)。早い話が子供になめられるメンツだった。 この先生が来たことでなにかが変わった。クラスのまとまりができたのだろう。 いちどお迎えにいったときにみていたら先生はしょうもない喧嘩の理由について子供の話すことを一生懸命最後まで聴いていた。忍耐力と姿勢。これなら子供たちもついていくのだろうなあと感心した。こういう理屈って実は親にも通じるところがあるのではないか。 「公立の保育園をだめもとで受けたら受かった」のだそうだ。それはめでたい。すべてを知っているわけではないが激務にみあう待遇があってほしいと思う職種だ。 体操教室で一緒のMちゃんのママは「仕事がいやになってやめるのかと思いました」といって笑っていた。とにかくそういうことをいいたくなる、でも応援したくなる先生だったのだ。 今日、「やめる」という意味がわかった女子園児(ムスメ含む)は全員号泣したらしい。いい話だ。子供が別れの意味を知った。これもまた成長の一環だ。 新天地でも頑張ってくださいねA先生。(♂)