手抜きのすすめ?
生前呉服屋をしていた母方の祖母は、端切れをつかって小物をつくるのが好きだったらしい。ポイントとポイントを絞り、あとは適当に縫う。いい意味での適当さがあったそうだ。 お手玉かなにか、作品をみた父方の祖母は「ずいぶん適当やなあ」といったという。ちなみに父方の祖母はなにからなにまでびっちり縫うひとである(現役)。 だれがいったかはいわずそのコメントを母方の祖母に伝えると、祖母は怒るでなくいったそうだ。 それは素人のやりかただ。なにからなにまでびっちり縫うと作り直したりするときほどくのが大変だ。商売をやっているひとはいい意味で手を抜くのだ、と。 母はそれを聞いてイギリスの紳士服の仕立てを思いだしたそうだ。 英国流ではやはり手をいれるところいれないところの差をはっきりつけるらしい。 これによって着たひとが着れば着るだけなじむようになっていくのだそうな。 なるほど、緩急は必要らしい。(♂)