ロック
靖国通り沿いの古本屋に入る。 その店はロック雑誌のバックナンバーがそろっているのが売りらしく(といっただけで特定されそうだが)、なんとかマガジンとかなんとかメイトとかがずらりとならび、いかにもな雰囲気だ。BGMには往年のニューウェイブが流れてたりする。 自分の目的はそれではなく店頭の105円の文庫。支払いのために中に入ったのだが。 店番は長髪を真っ赤にした、ロンドンパンクなお姉さん・・もとい、おばさんだった。こういうタイプはだるそうな無愛想なしゃべり方をするんだよなあ。たぶんめんどくさそうにお釣りだすよなあ。やだやだロックって。 とかなんとか世間の大人の思いそうなこと(偏見)を頭の中でだらだらつぶやいていたら。 聞こえてきたのは、「105円になります」 元気かつやわらかいふつうのおばさんの口調だった。ちっともロックなアレではない。社会性すら感じられる。 逆にぎょっとした。普通すぎる。目をつむってきけばこのままスーパーとかにいてもおかしくないじゃんこのひと。 ファッションだってよくみれば汚くない。歳とったロック崩れは性別問わずどこか崩れた雰囲気をもつものだが、歳なりに気をつかっているようだ。もしかしたら店長? 普通であること。ぎゃくにそれがロックな気がした。 崩すのと、崩れるのとは違う。Keep on rockin'! 人の目を気にしなくなった歳ではあるけれど、気をつけよう、そう思った。(♂)