堂場瞬一「ヒート」
日本人に世界最高記録を狙わせるマラソン大会をめぐる思惑を描く。 政治利用を狙う知事、無理難題を押し付けられ企画実現に走り回る男。あらゆる条件を蹴飛ばして記録にこだわり続ける男、とだれもがそれぞれの立場でドロドロとした感情の中で動きまわる緊張感。コントロールできないものとエゴのぶつかりあいが大会にむけて大きなうずとなっていく。 あれこれ小細工よりも競技の迫力。この著者のスポーツ作品はどれも粗い印象が否めないのだがその粗さすらも魅力に感じるのはスポーツへの愛情のせいか。エゴの強いキャラクターがだんだんと憎めなくなるのがいい。 それにしてもすげーなマラソン選手って。1キロ3分台ってバケモノだよ。(♂)