映画「おくりびと」
騒いでいるときはみない臍曲がりの私。数ヶ月前、BSで放映したのを録画してようやく観た。さきにさそうあきらのコミック版を読んではいたのだが、どちらもすばらしい。コミックはコミック、映画は映画というメディアへの理解とリスペクトがある。死を扱う納棺師という耳慣れない職業に少しずつ馴染んでいく元チェロ奏者の男の物語。食べる。死ぬ。音楽。画面に写るすべての営みが繋がっているようにみえる静謐さ。邦画独特の間が題材としてよくあっている。決して哀しみだけでなく、おかしみも漂う泣き笑いの空間というのはリアルだ。そういえば祖父も祖母もどこか安心した雰囲気で送られていった気がする。結果論だが、本木・広末・山崎努・余というキャスティングをした時点でこの映画は成功したも同然。どこかいびつさ(失礼)と美しさをもった役者達が作品世界にぴったりだった。(♂)