初ゴジラ映画
「シン・ゴジラ」人生初のゴジラ映画だった。過去作をテレビでも見たことなかった。でもこれは行こうと思った。行ってよかった。ひとことで言えば「愛」。対象を大切に思う、強い思いが溢れてる。最初から最後まで。その思いに、もう最初からやられてしまった。それを愛と呼ばずに何と呼ぼう。きっと観た人がネタバレしないのはその愛の力に打たれてしまうからだ。実は私は実写映画が苦手だ。火事や爆発や戦争とかをリアルに映像化したものを見ることが苦手。この映画で、矢口が瓦礫の前で手を合わせる場面や、自衛隊の小隊が犠牲になり、矢口が悔しい表情を見せる場面、これらがとてもリアルで愛を感じたんだ。破壊や爆発にカタルシスを感じない自分としては、いつもそこに流れた血を想像してしまっている。「表現のための、作り物じゃん」と言われればそれまでだが、表現のための表現って何なんだ、って疑問がずっとあって。私は庵野監督はそっちのほうのひとだと思ってた。かっこいい爆発を描くために描く、みたいな。でもごめん、ちがった。自分の国として日本を愛する、大切な愛する人のために力を尽くす、その姿を、最初から最後まで、言葉も、映像も、音も、音楽も、すべてに最上の愛をこめて描きつくした庵野監督はすごすぎる。そこには妥協も、大人の事情もなかった。ただひたすら、描きたいもののために全力だった。大学生の自主制作などではない、大人の商業映画で、50すぎのクリエイターの創るものがこんな力を持ち得るとは、想像もしていなかった。はじまってすぐぐらいから、画面の緊張感に感動しっぱなしで、涙が流れて止まらなかった。見逃していい場面、いや、コマすらない。そこから受けとったのは庵野監督の愛としか言いようがない。