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遠くにいる人のことを想うというのはどういうことだろう? 愛している、好きだ、ラブラブだというような気持ちを持つのに、 どうしてそばにいて欲しい、横に一緒にいたいと必ずしもならないんだろう? 毎日毎日そばにいて片時も離れず、一緒に暮らし、デートを重ね、セックスを深め、 離れたときも毎日のように電話をし、メールをやり取りし、 それぞれにあった出来事を報告し合い、くっついていなかった時間の空白を埋めていく…… 遠くで人を想う人というのは、そういうことをどうしてしたくならないんだろう? 好きな人がいて、相手も自分のことが好きで、 でも付き合うわけでもなく、ただ想うだけ……。 これって不幸じゃないんだろうか? 「幸せにならなきゃ不幸って訳じゃない 「言葉では言い表せないレベルで完結してるってことやろ。 形になるのを拒む愛情なのよ。形而上の恋愛やな。」 「まあそれも違う 「夢の中で会えるんだったら外で会うよりも自由じゃん」 「夢の自由はしってるでしょ 「まあ、なんて言うか…説明が難しいんですけど、 始まる前に、終わっちゃってる感じですよ。なんか」 僕は多分、子供の頃からずっと、人が誰かを想う気持ちが、 その人の中にとどまっているはずがないと考えている 気持ちというものが飛び道具であってほしい……というのは、しかし僕だけの祈りじゃない ある<場>においては、<本当のこと>というのは<本当と感じられること>なのだ。 「舞城小説粉吹雪」舞城王太郎 『群像-文字の触覚-』 より抜粋 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
February 28, 2012 10:44:39 AM
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