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テーマ:あなたに口づけを‥‥(54)
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Dear My Honey,
私達は、今週末、2人で小旅行に行く事をずいぶん前から計画していた。その場所というのは、2人が出会うきっかけにもなった場所で、もう一度そこへ言ってみようという彼の提案だった。が、そこへまたもや予期せぬ事が起こってしまった。彼がその小旅行へ、しばらく会っていない友達を呼んだというのだ。しかも、私に何も相談せずに呼んだというから二重の怒りだった。今まで抑えていた感情が勢いとともに一気に口から出てしまった。 “なにぃ、私に黙って友達さそってぇ~。どういうことぉ?” “いや、だって、本当なら先週末皆と会う予定だっただろぉ?覚えてるか?” “覚えてるよぉ~。” “だから、誘ったんだよ!” “何も、今回の小旅行に誘わなくったっていいじゃない!何でそんな無神経なことするの?しかも、なんの断りもなしに、ただ会う予定にしてたからってそれだけの理由でぇ?いい加減にしてよぉ~。じゃあ、何でもう一度そこへ2人で行きたいって言ったのぉ?その意味を考えてよねぇ~。” “分かってるよぉ。俺達が会うきっかけにもなった場所だからだろ!” “そうよ。分かってるじゃないよぉ~!” “分かってるよ!” “でも、そこへ友達といえども、他人が入ってきたらそれは私たち2人だけの時間じゃなくなるのよ。皆の時間になるのよ。そうなるとね、私の立場は、”彼女“じゃなくて、honey の彼女として友達を楽しませてあげる裏方になるのよ。わかってんのぉ~?ねぇ~?” “そんなに考えなくても、お前はお前でいいよ。いつものお前で・・・。” “そんな訳にはいかないから言ってるのよぉ~。Honey とあなたの友達と私がいる時には、あなたとあなたの友達との関係が最優先されるんだから、私がでしゃばって、彼女でございますってしゃしゃり出るわけには行かないのよ。そういうもんなのよ・・・。他人が入ってくるって事は・・・。” “今回はもう起こってしまったことだから謝るよ。ごめんな, baby. 俺が悪かった。だから、次の時には2人で行こうな。” “何にも分かってないんだぁ~, honey は・・・。来年の夏はhoney はもうここにはいないのよ。それ、分かってるぅ?という事はもう1年ないのよ。言ったと思うけれど、私は彼氏を亡くしているから、また何かが起こるんじゃないかと思って、不安で不安で仕方がないのよ。でもね、そこにhoney とのたくさんの思い出があれば、それが、私の心の支えになってくれて、辛いときや、寂しいときに、”大丈夫だから“って私を励まして勇気付けてくれると思うの。だからそのためにも私にはあなたとの時間が必要なのよ。私はあなたと2人だけの時間を1分でも1秒でも多く過ごしたいと思っているのよ。1年なんてあっという間なのよ!来年の夏なんてすぐ来るのよぉ, honey!” “いいよ、そりゃぁ、あなたにはあなたの友達がいて人生があって、私には私の生き方があるもの。文化風習が違えば考え方も違ってくるわよね。そして年齢差があれば生きてきた世代も違うもの。分かり合えるわけがないわよね。分かり合おうっていう方が無理な話よね。そう望んでた私が馬鹿だったわよね。やっぱり、永遠の愛や幸せなんて、存在しないもん。” そう言って私は悲しみをこらえながら、大粒の涙を浮かべて彼に背を向けた。 “皆、永遠の愛だの幸せだのって約束するけど、そんなに簡単に口に出来るものじゃないもん!細かな気遣いが出来ない人にそんなのが分かる訳がないじゃない!3年も離れ離れになって会えなくなるまであと1年ないのに、その時間さえも大切にしてもらえないんだもん!そんな人から愛してるって100回、1000回言われたって信じられるわけがないじゃない!” 彼は私の背中を抱きしめようとしたが、私はそれを振り払って立ち上がった。 “今日はもう帰るから・・・。” そう言って彼の部屋から出ようとして1歩踏み出したその瞬間、彼が私の手首を思いっきり掴んだ。 “なんなのぉ?もういいよ・・・。” “お前がそんなに俺の愛に不安を感じて、信じられないのなら、俺がどれだけお前の事を愛しているかを言おうかぁ?” そう言って彼は、首からネックレスをはずして、かかっていたプラチナの指輪を私の手のひらにそっと置いた。 “これは親父の形見なんだ。親父が亡くなる前に指からはずして俺にってくれたんだ。これは俺にとって何よりも大切なものなんだ。分かるかぁ, baby. だからこれを俺の代わりにお前に渡しておくからずっと大切に持っていて欲しいんだ。俺と思ってずっとずっと持っていて欲しいんだ。俺と離れて、寂しくなったり、辛くなったりした時には、この指輪を思い出して欲しい。” そう言って彼はそのネックレスを私の首にかけた。 “この指輪、お袋は親父が亡くなった今でもはずした事がないんだよ。これが2人の愛を永遠に繋いでいるんだよ, baby. この指輪は俺にそれがどういう意味なのかを教えてくれたんだ。だからお願いだ, baby. その日が来るまで、俺の代わりにこの親父の指輪を持っていてくれないかぁ。分かるかぁ、俺の言ってる意味がぁ, baby?受取ってくれないかぁ、俺の愛を, baby?” ”・・・” 私は、固まってしまった。彼の真剣な眼差しに向き合えず、どうしていいのか分からなくなった。一瞬心が凍ってしまった。そして、しばらくしてその凍っていた心が涙でにじみ始めた。私は、とうとう涙をこらえられずに、彼の胸に飛び込んで泣きじゃくった。 “不安だったんだもん!皆同じ約束をしていっては私を独り残していくんだもん!だから・・・。” “だから誰も愛さないって心に誓ったんだもん・・・。” “大丈夫だから, baby. 俺はお前を独りにはしないよ。お前と離れ離れになったって、毎日でも電話をかけるし、メールだって毎日書くよ、どんなに忙しくっても、どんなに眠くったって・・・。それはどんなに離れていてもお前とずっと繋がっていたいし、ずっとお前の事だけを考えていたいと思うからだよ。そして何よりもお前を愛しているからだよ。俺はどんな事があっても必ずお前のところに帰ってくるよ、お前のために・・・。例え死んだってお前のところに帰ってくるよ, baby.” “死なないで, honey. もう、そんな悲しみはいらないから・・・。” “それはあくまでも例えだよ, baby. 俺たち2人の間にどんなに距離があったって、心はいつも繋がってるよ。このリングが亡くなった親父とお袋を繋いでいるように・・・。これだけは忘れないで欲しい, baby. どんな時も俺はお前を愛しているし、これからもずっと俺はお前を愛し続けるってことを・・・。いいか、自分をしっかり持つんだ。お前は強いから、どんなことでも乗り越えられると俺は信じているよ・・・。お前は俺を絶対に失いはしないから・・・。いいか, baby. 大丈夫だから・・・。” そう言って彼は、私を強く強く抱きしめていてくれた。 Love and miss you so much, お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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