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2003年11月14日
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Dear My Honey,

“私、やっぱり才能ないかもしれない・・・。”

私はそう呟いたけれど、本当は悔しかった。言葉には言い表せないくらい、悔しかった。2年間かけて書き上げた約30ページの論文。企画から調査まで、とにかく自分ひとりで仕上げたプロジェクト。それが会議にかけられ、その結果、1日にして、ただの紙切れの束となってしまったからだ。今まで背負っていたものすごいプレッシャーと疲労で、言葉も涙も全て失ってしまい、送られてきた書面をただじっと見つめるだけだった。

“最初からそんなに期待はしていなかったけどねぇ・・・。でも、それよりも何よりも2年間、がんばったのにぃ・・・。世の中ってやっぱりそんなに甘くはないね・・・。努力したものよりも、才能ある者が成功するのかなぁ~・・・。”

この企画は私にとって、新しいポジションを得るための絶好のチャンスだった。そのために2年前から私は自分の生活までもをすべてそれにあわせて生きてきた。なのに、私はそれを逃してしまった・・・。そのショックは大きかった。どんな形容詞を並べても表現できないくらいに大きかった。計り知れないくらいに・・・。

“一生懸命やったのになぁ~~。”

“知ってるよ。お前が休日返上で頑張ってたのも、俺はずっと見てきたからな・・・。寝ずに夜中じゅう起きて仕事していた日も、俺は見てきたしなぁ・・・。だから、お前のその気持ちは俺の事のように分かるよ・・・。”

“情けないよなぁ~~。やっぱり才能ないのかなぁ~~、私って・・・。”

“才能がないわけじゃないよ、お前は・・・。”

“だってもしも才能があったら今回のプロジェクトだって、成功してたかもしれないんだよぉ~。なのに・・・。”

“皆どんな人間だって才能は持ってるんだよ, baby. ただ何が違うかっていうと、みんなそれぞれがそれぞれに情報を持っていて、その情報をどう使うかなんだよ。それを生かすも殺すもその人間次第・・・。そしてそれを使いながら、今度はそれを自分の中に取りいれて、考え、表現し、そしてどこまで今度はそれを自分のものとして新しいものに出来るか。それを絶え間ない努力によって、見つけ出した人間こそが、才能がある人間だと言えると俺は思うんだ!たとえば、それが陸上選手なら、走るための色々なテクニックを色々な選手の走りを見て得る。そしてそこで得た他人のフォームを今度は自分のフォームに取り入れ、自己ベストを更新するための練習を日々重ねる。自己の記録を一秒でも更新するために・・・。だからそこで記録を出した彼らは才能があると言われて、スポットライトが当たるんだ!コンピューターを扱う技術屋だって同じだ。彼らもコンピューターの仕組みを誰よりも深く理解し、その情報を利用して、より新しいものを開発し、よりいい製品を世に送り出すために日々研究している。だからそれをしている技術者は才能があると言われ続けるんだろうなぁ・・・。”

“ふぅ~~~ん。”

“主婦だってそうだぞ!才能がないと主婦なんてやっていけないからな!たいしたもんだよな、彼らは・・・。”

”じゃあ、あたしは今回その部分の努力が足りなかったんだ!だから、例え私が才能を持っていたとしてもそれを発揮できなくて、認めてもらえなかったんだね。”

”それがそうでもないんだよ, baby!いいかぁ~。こっからがトリックなんだ!残念ながら人生にはもう一つの歯車があるんだ・・・。それは”運“という歯車なんだ。”

“運という歯車?”

“そうだ!運という歯車と、才能という歯車は必ずしもかみ合うわけではないんだ。かみ合う時とかみ合わない時とがあるんだ。そのかみ合った時には、物事がうまくいくんだ。だから、お前は才能がないないっていうけれど、それは違うんだ!今回たまたま、お前の場合、お前の才能という歯車と、運という歯車がうまく噛み合う時期じゃなかったんだ。だからうまくいかなかっただけなんだ。でも、忘れるなぁ~。いいかぁ~。大事な事は、お前がお前の才能という歯車をまわし続けていれば、いつか運という歯車と噛み合う日がまたやって来るからその日まであきらめるなってことなんだ。それを俺は今回お前に言いたかったんだ。分かるか?お前は決して才能がないわけじゃないんだ。それに、お前のその2年間という時間は決して無駄ではなかったはずだぞぉ~。今回のプロジェクトを通じて、お前はいろいろな事を学んだはずだぞぉ~。それは、お前の血となり肉となり、そしてお前のこれからの自信に繋がるから大丈夫だ・・・。安心しろ!足元だけをみるな, baby. もっと遠くを見据えて歩いてみろ。そうすれば、今のそのショックも乗り越えられるから・・・。そしてそれを踏み台にして、またひと回りもふた回りも大きい人間に成長できるから・・・。”

そう言って彼は私を抱きしめてくれた。

“どんな時も俺はお前のそばにいるし、お前をサポートしてやるから自信を持って人生歩いていけ!お前は、才能のあるすばらしい人間だから、そんなことで自分を責めるな。俺は逆に良くやったと褒めてやりたいくらいなんだぞ。”

“そうかなぁ~。”

“そうだよ!”

“こんな私でもぉ?”

“こんな私でもじゃなくて、2年という歳月を費やして1つの事に尽力したお前を俺は、自分の最愛の人としてとっても誇りに思うよ。そういうお前だからこれが俺の最愛の人だってみんなの前でも自信を持っていえるんだよ, baby. 分かるかぁ?”

“こんな私でも, honey?”

“そんなお前が好きなんだよ俺は・・・。だからこれからもずっとお前のそばにいてお前を応援してやりたいと思っているんだよ!負けるな, baby!お前ならきっと出来るから!がんばれ, baby! いつかまたチャンスはきっと巡ってくるから・・・。俺がついてるから大丈夫・・・。”

Love and miss you so much,





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最終更新日  2003年11月17日 20時41分29秒
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