Moon Of Oblivion～忘却の月～

【起源・KEY GAME】
目の前にいる少女はゴスっ娘とかいう人種らしい
トロイが目を輝かせながらそんな事を騒いでいた
ログハウスの鍵を開けて通されたリビングで
トロイと俺は彼女と向かい合うようにテーブルに着いた
確かに言われてみればメイド服にヒラヒラのついたような洋服
大きめの深紅のヘッドレスト、というか極端に大きい
頭巾のようにも見えるものを被っている
ハッキリ言って苦手だ・・・・・・・というよりも
殆どこの手の人間との面識がない
最初彼女は俺たちの姿を見ると
怯えたような表情になったが
九条から話を聞いてやってきたと伝えると
強張った表情は弱々しいながらも笑顔へと変わり
彼女の元の姿であろう落ち着いた佇まいの少女がそこには居た

「それで狭今 樹繰さん、早速ですが依頼というのは？」
彼女の出してくれた紅茶をすすりながら本題へ入る
「はい・・・・あの・・・・祖母が何故・・・その・・・」
彼女はそう言うと俯いて黙ってしまった
「知りたいんですね？」
俺がそう言うと彼女は微かに頷いた
部屋には紅茶の芳しい香りと
トロイが紅茶をすする下品な音が響いていた

【形見・CUT ME】
「こちらが貴女のおばあ様の遺品で間違いないですか？」
俺は懐からおもむろに何枚かのビニール袋を取り出し
テーブルの上に広げて彼女に見せた
彼女の写真、老眼鏡、貴金属等
全て九条が数時間前に俺に託した物だ
刑事が遺品（まぁ証拠品とも言うが）を一般人に渡すなんて事は
そうそうあるものではない・・・・・というかあっちゃならんだろ
しかし九条はこれまでも幾度となく俺にその類の代物を託すことがあった
その理由としては今はまだ語る必要はないだろう
今ここで問題なのは目の前に広げたこれらは
"遺品"であると同時に"証拠品"の数々だという事だ
"証拠品"この言葉が意味するのは
証拠が必要な事柄に関係している物という事
つまり事件性があって更には今のところ未解決だという意味
長い沈黙の後彼女は弱々しいながらも俺の質問に対して頷いた
「どうっスか？サルベージできそうっスか？」
トロイがティースプーンをペロペロと舐めながら聞いてきた
どうも静かだと思ったら紅茶用の角砂糖を舐めていたらしい
「これだけあれば充分だ、帰って早速支度しよう」
残りの紅茶を飲み干すと俺とトロイは席を立ち
入ってきた扉へと向かって歩き出そうとすると
「あ、あの・・・・・」
彼女が不安そうに声をかけてきた
「大丈夫ですよ、話は九条刑事から聞いてますので
貴女の警護は警察が来ると思いますからここで待っていて・・・」
と俺の台詞に割って入る輩がいる
「家でじっとがぐっどなんス☆後はメルヘンダイバーの仕事っス♪」
トロイが得意そうに手をパタパタとしながら満面の笑みで彼女に言った
ってかサイズの合ったパーカー着ろよ
なんて思いながらも面倒なのでトロイの首根っこを掴み
ズルズルと引きずるようにさっさと帰路へと向かった


【あとがき】
オヒサオヒサの『MARCHEN DIVER』です
結局進んでるんだか進んでないんだかわかりませんが
とりあえず駄文を垂れ流し☆
この先どうなるのー！？なんて実は私が一番思ってたりしてw