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2004年08月23日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
それからまた、彼女とかなりの話をした。

「ねえ、君は誰なんだい?」
『私は私。それ以外の何者でもないわ。』
「そんな事は分かってるよ。僕が聞きたいのは、君の名前。」
『名前?…貴方…そう…忘れているのね。』
「忘れてる?僕は、君と会ったことがあるのかい?」
『ええ。私は、貴方をよく知っている。そして、貴方も私をよく知っているはず。』
「…すまない。僕は、どうやら忘れてしまっているみたいだ。だから、教えて欲しい。君の名前はなんていうんだい?」
『私は私。貴方の中にいる私。名前は貴方がつけてくれた。』
「…?いってる意味がわからないんだけど。」
『いずれ分かるわ。だから、今は深く考えない事ね。』
「分かった。じゃあ、質問を変えよう。
君は、どうしてここにいるんだい?」
『貴方が呼んだから。そして、貴方が選ばれたから。』
「僕が君を呼んだ?記憶をなくしているのに、君を呼んだというのかい?」
『そう。貴方は、私を呼んだ。だから、私はここに来ることができた。嬉しかった。とっても、嬉しかった。』
「…」

恥ずかしかった。
彼女に喜ばれた事よりも、こんなに喜んでいる彼女の名前すら、『僕』が思い出せない事に。
死んだときに、記憶が消えてしまったのだろうか?
だが、死んだ記憶は、彼女の声で思い出せた。
ということは、やはり『僕』は僕の意思で忘れたわけではないという事だろう。
ひょっとしたら、他の記憶も何かのはずみで思い出すかもしれない。
思い出したくないような気もするのだが…

『僕』は、また彼女と歩き始めた。





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最終更新日  2004年08月23日 23時17分21秒
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