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僕は、扉を開けた。
一瞬、眩しさに目がくらんだ。 しばらく動く事ができず、ただ立ち尽くしていた。 ようやく目が見えるようになってきた。 目の前に広がった、広い、それは広い部屋。 あまりにも豪華な、例えばすぐそこにある花瓶1つとっても、とてもではないが『僕』が働いていた時の年収は軽く超えているのだろう。 場違いな気がする。 自分がまだ、なぜここに来たのかすら、分かっていない『僕』にとっては、全てが別世界だった。 門番に連れて行かれたのは、応接間と呼ぶべきだろう、ある部屋だった。 扉を開けた瞬間、『彼ら』は拍手で『僕』を出迎えてくれた。 『やあ、はじめまして。』 『おっ、やっと来たねえ。』 『これで、全員揃ったんですよね?』 口々に、自分のいいたい事を並べ立てる若者達。 男3人、女2人。 どうやら、『彼ら』には事情が飲みこめているようだ。 『僕』1人が置いてきぼりをくらったような気になったが、孤独は感じなかった。 『僕』は生まれたときから1人だったから。 「さて、それでは、皆さんお座りください。」 1番後ろにいた白髪の老人が、僕達に声をかけた。 右目の部分に海賊がつけるような眼帯がかかっている。 死後の世界だというのに、こういうハンディは残るのだろうか? 考えながら、『僕』も席につく事にした。幸い、椅子が1つ空いていた。もちろん、この椅子も想像できないくらい高いものなのだろう。 「さて、最後のお客様が辿り着いたところで、そろそろはじめたいと思いますが…貴方、貴方はまだ何も知らされていませんね?」 「僕ですか?ええ。ここがどこなのか、なんのためにここに連れてこられたのか、全く分かりませんね。」 「そうでしょうね。どうやら彼女は約束を守ってくれたようですな。よろしい。私から説明しましょう。」 そう言うと、かれは他の人間たちに、 「皆さんはすでに1度聞いていると思いますが、まあ復習だと思って聞いて頂きたい。」と断りを入れ、 そして、『彼』は、ゆっくりと語り出した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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