森でのんびり

１０年以上前に知り合った


旧友達の旧彼氏のすっとん卿様。




このブログにぶらりと


ときどき書き込みをしてくれる。




旧友達の旧彼氏は、


大人なのに“妖怪好き”って


変わっているなぁ～って思っていて


すっとん卿様の人物理解のために始めた


「“妖怪好き”のハートは


なにに魅せられているのか。」


っていう私自身の研究のため


妖怪にまつわる本を何十冊も読んだわたし。



大国魂神社イルミ2011.12.18府中 posted by (C)あっこ森


“何が面白いのか？”ってことが


やっぱり不思議だったし


貴重な妖怪好きの大人に出会えた


千載一遇のチャンスは、逃したくなかった。




今となっては何にも


役立てることができなくなった


無駄な私の妖怪知識。




池袋～品川間の山手線で妖怪の本ばかり


読んでいたあの頃が懐かしい。




光ヶ丘公園の花壇のふちに置かれた


一冊のボロボロになった


自由帳が風でめくれている。




迫力のある絵が全ページに描かれていて


書かれている文字の雰囲気から


子どもの持ち物と想像がつく。




あまりに迫力があるのでつい見入った。




“妖怪だ。”




怖いけど、カッコいい。




しばらくして


座敷わらしみたいな少年がやってきて


わたしに「見てください。」と


ノートを差し出してきた。




「さっきから、


カッコいいなぁって思っていたの。」


と言うと


少年は胸を張って


そのノートを惜しげもなく


わたしに見せてくれる。




そのノートを拝見しながら


妖怪が好きそうな少年に


「妖怪まくら流しっていう


可愛い妖怪がいるんだけど知っている？」と


訊ねてみた。




知らないみたいで目を横に振る。




少年が知っていそうな妖怪をゆってみよう。




「んじゃぁ。“川男”って知っている？


私、結構好きなんだけど。」




少年は一拍だけ、考えて


ジェスチャーをまじえて答えてくれた。




膝を抱えるジェスチャーをしながら


「こうやって河原で膝を抱えて


座っている妖怪でしょう。」




わたしも答えた。




「そう、大男で、でも気が弱くて


ただ河原で座っているだけで


とくになにもしない妖怪。」




「わたしね、小豆とぎちゃんに


似ているって言われたことあるんだけど


似ているかな？」




わたしの顔を覗き込んで


顔を横に振る。




そこまで言うと少年は


すごくうれしくなったみたいで


「妖怪詳しいね～。」と


トーンをあげて話しかえしてきた。




「昔ね。妖怪が好きな友達が居たの。


そのときにたくさん本を読んだんだよ。」




「僕もたくさん本を持っているよ。」と


ボロボロになった水木しげる先生の妖怪図鑑の


表紙の裏に紹介されている


先生の図鑑の一覧を見せながら「これ全部。」と指をさす。




「子どものころから


大好きでずっと読んでいるんだ。」




心のうちを語る少年の姿には、


なにものにも代えがたい


喜びのようなものが感じ取れた。




すっとん卿様が、


どうして妖怪が好きなのか。




私には、ずっと謎だったんだけど


この少年と話していれば


なにかが見えてくるかもしれない。




そんなふうに思えた。




“妖怪好き”の可能性は、計り知れない。




日本民俗学の祖としての功績を収めた


柳田國男さんのような研究に繋がるかもしれない。




水木しげる先生の手によって作り出された


妖怪の世界を彼がどう受け止めていくのか。




かなり自由度が高い。




絵を描くことが得意だという彼が


描くことの原動力にしているのかもしれない。




妖怪好きというのを


ひと塊で捉えていたけど


妖怪好きの少年に出会って


その世界の可能性の大きさを知る。




その幅の広さは


彼を飽きさせない魅力があるのだと思う。




彼にとっての“妖怪”が


自分の心の内のどこにあるのかは


まだ本人だって知らないところだと思うけど


彼の“情熱の炎”が他所から


消されないといいなと思う。




探究心の情熱の炎の燃やし方をこの年齢で


心の内で感じ取っていくこと


その経験そのものが宝のように思える。




水木しげる先生にぜひ、あの少年の


素晴らしいノートを見てもらいたい。




おそらく嬉しくて


涙がこぼれてしまうのではないかと思えるほど


情熱が注がれたノートだったから。




水木しげるさんがこの世で一番


あのノートで幸せ感を味わえる方だと思う。




たったひとりの理解者が居るだけで


可能性の芽は摘まれずにすむのだけれど…。




“妖怪”を作られたものとして


ひとくくりにせずに


ちゃんとその話を聞いてあげられる


話し相手や相談相手を彼が見つけられると


奥深い妖怪ファンの世界を


研究や探求に繋げていけるのだろうと思う。




彼の情熱の炎がますます熱く


続いていきますように☆



背景は仏壇屋2011.12.18府中 posted by (C)あっこ森

写真は１２月１８日に府中にて撮影しました。

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