森でのんびり

「３時５５分までにおかわりしてね。


そのあとはごちそうさまだよ。」




だいたい、こんな感じで


おやつの時間は区切られる。




おかわりは、ちゃんと静かに


座っていた班から呼ばれている。




その日は、３時５５分を過ぎても


おしゃべりがやめられなかった班が


とうとう呼ばれなかった。




そして、そのうちの班員の１人が


４時帰りだった。




「おかわり呼ばれないの？」




目をウルウルさせながら


あっこぉに聞いてくる１年男児。




「しょうがないね。


おかわりは、５５分までって言われてたでしょ？」




「おかわり欲しいっ。」とごねてくる。




「おしゃべりやめなかったのは自分たちだもの。


あれじゃあ、呼ばれないよ。


さあ、帰りのお支度してね。」




その男児が帰り際、


もう一度あっこぉのところに来て泣きつく。




「ぼくね。おやつのおかわりが


３つ出来ないと死んじゃうの。かわいそうなんだよ。」




顔を真っ赤にさせ


目にウルウルと涙をにじませながら、


わたしに訴える。




思わず聞きながら可愛らしすぎて


吹き出しそうになるが


グッと堪えて


「…可愛そうね。


今日は、約束の時間が過ぎたから


おかわりはできない。


また明日ね。」


そう、言い切るあっこぉ。




鬼だ。鬼だよ、あっこぉは。




翌日、男児はもちろん死ぬことはなく


ケロッとして、またニコニコとやってきたけれど。




また別の児童。




３日間の学級閉鎖で自宅待機中の児童。




たった１室で退屈な時間を過ごし、


今日でもう３日目。




マンツーマンで職員がつき


やりたい放題状態が続き


少々わがままがすぎる状態に。




お昼ご飯前に


超でっかい積み木の作品を仕上げ楽しんでいた。




危ないと察したあっこぉは、３０分前から


「１２時になったら、お昼だから一旦片付けるよ。」と


声掛けを始め、１０分おきぐらいにカウントダウンをしていった。




ところが、いざ１２時になったら


積み木の作品をとっておきたいという。




食事のテーブルまで使った


大規模な作品をとっておきたいという気持ちはよくわかったが


ご飯の前と、おやつの前は


一旦、おもちゃは片付けるのが、ここでのルール。




そのわがままを一旦聞いてしまうと


「例外」ができてしまうのでお断りした。




そこへ、別の職員がやってきて、


男児は、同じお願いをしていた。




そうするとテーブルの上だけを片付ければいいと


妥協案を提示される。




ところが、がんばって


首を縦には振らない男児。




あっこぉとまた二人きりになって


どうしてもとっておきたいというので


使っていない床のブロックをせめて片付けしたらいいよと


さらなる妥協案をあっこぉからも提示をする。




ところが、それもやらないというので


ダメだな…中途半端はダメだ


いつもどおりでいこうとわたしは、心に決めて


男児と向き合う。




「どれも片付けできないというなら


あっこぉが片付けを手伝います。


片付けもできない人にかせる積み木はありません。


午後は、もう使わないでください。」




男児の表情を見ながら


積み木を片付けていく。




悔しくて泣き出す男児。




片付けを終えて


ふたりで話し合う。




「特別なチャンスは、２度もあったんだけれどね。」




泣きじゃくる男児。




おやつとごはんの前には


おもちゃを片付けるというのは


ここでの決まりごとであることを


もう一度確認する。




わからないと泣くので


「世の中は、ぜんぶすぐに


簡単にわかることばかりではありません。」


と言ってみた。




泣きながらも


不思議な言葉に引っかかる男児。




あっこぉの目をじぃっと見ている。




今なら大丈夫だな…。




「大丈夫。わからないと言いつつも


もう、どうすればいいのかわかっているはずだから


次はかならず、できるから。」




泣き顔の男児の目に光を感じた。




少しずつ安堵の表情にかわっている。




お昼ご飯を食べないと怒っていた男児に


「手を洗っておいで。お昼ご飯にしよう。


それともそこもあっこぉがお手伝いしたほうがいい？」




時計もちょうど１時。




お腹もペコペコだったんだと思うけれど


ふくれながらも手を洗いに行き


お弁当を準備した男児。




「いただきます。」をして


お弁当箱についていた輪ゴムを蓋にひっかけて


楽器にしていたので


午後は、楽器を作って遊んでみようかと


遊びの相談をふたりでしつつ


楽しくお食事。




ちょっとぐらいの悪態は付いたって


あっこぉはぜんぜん平気なのだよ。




（なにせ、あの“とうさん”で


鍛えられているからね（笑））




でも、この子は偉かった。




わたしに手を上げながらも


力の加減が出来ていた。




でも、他人に手をあげちゃいけないことは


あっこぉとしては一言は、言うんだけれど。




今日で学級閉鎖もおしまい。




明日からは


待ちに待った学校が再開するね。




ときどき泣きながらも


いろんなことを考えている子どもたち。




大人になったら話してあげたい、今日のこと。




ちゃんと考えていて


かわいいゾ

雪ぶとんとアケボノスギ2016.01.21石神井公園 posted by (C)あっこ森


 

写真は１月２１日に石神井公園にて撮影しました。

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