だって好きなんですもの

今年に入ってから読んだ本の中で、一番面白かった本です。

つい２年ほど前に亡くなられたロシア語通訳・作家として有名な米原万理の本。
最近ちくま文庫版で発売になったので、タイトルに惹かれて購入しました。

・・・そう、タイトルが気になったんですよね（笑）

　　　『パンツの面目　ふんどしの沽券』　米原万理著　筑摩書房

　　　

意味は良く分かりませんでしたが、なんだかとにかく惹かれた。
最初は購入するつもりはなかったんですよ。
単にパラパラと数ページチェックするつもりで手に取っただけだったんです。
でも、それがいけなかった（笑）
読む手が止まらず、そのままでは仕事にならないので購入しちゃいました。

著者自身が体験した東欧留学時代の話、

　　　プラハ・ソビエト学校では、裁縫の時間に最初に覚えるのは
　　　下着のパンツの作り方だった。

なあんて話から、

　　　十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。

　　　昔のヨーロッパの男たちはワイシャツの前身頃の下端と後ろ身頃の下端で
　　　股を覆っていた。

など古今東西の下半身を覆うものの話やら、

　　　シベリア抑留で日本兵が一番困ったのは、便所の紙がなかったことである。

などなど、興味のつきない話が次から次へと出てきます。


生まれてこのかた水洗便所を使い、トイレットペーパーでお尻を拭いて、
毎日きれいなパンツ（子どものころはブリーフ、その後はトランクス）に履き替えて
生活している自分にとって、そうでない話にはすっごく興味があるんです（笑）
思えば、水洗トイレで用を足し、トイレットペーパーでお尻を拭き、
下着のパンツを着用した生活をしていない人たちは全世界でどのくらいいるのだろう？
彼らは一体どうしてるのか？　（どうしてきたのか？）

まず下着のパンツを履かない生活は信じられないし、
トイレで大きい方をしてお尻を拭かないなんて考えただけでも恐ろしい。

コーモン丸出しで歩き回るネコたん見てても凄く気になってたんです。
お前さんはなんともないのかと（笑）

でも、本書を読んだらなんとなく分かりました。

米原さんが幼稚園の頃に不思議に思った教え、

　　　まいにち　パンツを　とりかえましょう

これも日本以外では違う常識があったりする・・・

さすが翻訳のプロでもある米原さん。
海外の様々な文学作品からも『下ネタ』を探し出し、
面白おかしく、そして興味深く紹介してくれます。


引っ越しの真っ最中で忙しいのに、この本だけは一気読みでした。
もちろんトイレ中も読み続けなければ気が済まなかった。

今までは和式水洗トイレでしたが、今度はお尻を洗ってもらえる
洋式トイレに進化した我が家。
ちょろちょろと出るその水を尻に受け、実に感慨深く読了させていただきました（笑）