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カテゴリ:本
最近読んだ文庫本です。
『本業』 浅草キッド 水道橋博士著 文藝春秋 私はもともとタレント本にはあまり興味がなかったですね。 優れた芸人さんの秀でた芸を観るのは好きですが、 そのプライベートにはさほど関心がないんですよね。 別に『芸』が良ければイイじゃないかと。 ワイドショーや週刊誌に興味を示さないのは、 タレントに対して関心が低いからだと思っていました。 なので、いわゆるタレント本はほとんど買ったことがありません。 (作家として発表した作品は別ですが) 売る方では、そこはビジネスですから(笑)、ちゃんと売りますけどね。 で、タレント本というと、この本が一番印象に残っています。 今からちょうど10年前の1998年に発売になったこの本。 衝撃でした。 何が衝撃かって、発売日になるまで全然知らなかったんですもの。 版元の厳冬舎、いや、幻冬舎が発売日まで情報を制限していて、まさに寝耳に水でした。 いきなり初版50万部というのも凄かった。 超ベストセラーとなった『五体不満足』の初版がわずか数千部だった頃の話です。 朝から読者が殺到! TVでは、東京の巨大書店の状況をこんな風に伝えていました。 『○○書店では、1時間ごとに200冊売れているということです』 フハッ。 ウチでもびっくりするくらいに入荷しましたが、夕方までには完売。 思わずため息が出ました。 入社して間もない私は、タレント本がこんなに売れるとは思っていなかったので、 ただただ唖然呆然。 オイルショック時のトイレットペーパーみたいなものかと(?)妙に自分を 納得させました(笑) マスコミを動かした広告・宣伝戦略の勝利かと。 でも、10年経って時代は大きく変わりました。 タレントは、本を書かなくても自身のブログで公表することが出来る時代に。 タレント本は無論、週刊誌も売れなくなるわけですな。 あの熱気がなんだか懐かしく思える・・・ ・・・長々と書いてしまいましたが、今回のテーマはこの本、『本業』ですよね。 この本は、あの水道橋博士が、矢沢永吉の『アー・ユー・ハッピー?』から、 劇団ひとりの『陰日向に咲く』まで約50冊のタレント本を書評したものです。 それも徹底的にタレント本に対する『愛』で貫かれた書評。 オビにもありましたが、『怒涛の誉め殺し!』です(笑) 業界人が書いてるだけあって、芸能界の裏話や、このタレントの本は 絶対に誰も書評を書かないであろうと思われる方の本も扱っており、 さらに書店員としては有難いマメ知識的な部分もあって、 なかなか勉強になりました(笑) 桐野夏生の『グロテスク』が、あの『東電OL殺人事件』をベースに 書かれていたというのは本書で初めて知りました。 いや~ん、相変わらずの勉強不足(笑) また、水道橋博士の知識の凄さに圧倒されました。 この人、ホント本読みさんなのね~ 出版業界に対して語ったコラム、『出版界にもの申す!』には、 私も胸が熱くなりました。 面白い本は永遠に面白い。賞味期限なんてあるわけない。 おお~ 同感っす! 古くても面白いものは面白いのだ。 新刊が来たからといって、単にサイクルで棚の本を機械的に出し入れする だけなんて面白くない! もっと自信を持って面白い本を紹介せねば。 そんな書店員魂を喚起させられた本でもありました。 ガンバルゾ~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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