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テーマ:お勧めの本(7364)
カテゴリ:本
おすすめマンガのご紹介です。
以前紹介した『夕凪の街 桜の国』。 これは広島に原爆が投下されてから10年後を描いた作品でした。 文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。 静かな感動を読んだ素晴らしい作品でした。 で、以後こうのさんの作品が気になっていましたが、 今度は戦時中の広島・呉を舞台とした作品を描いていました。 『この世界の片隅に』 こうの史代著 双葉社 絵を描くのが好きな女性すず。 ちょっと『とろい』が優しくて愛嬌があります。 昭和19年のはじめ、親の決めた縁談で呉に嫁ぎます。 日に日に物資が不足していく中、すずは見知らぬ街で健気に生きていく・・・ 私は先月発売された2冊目まで読みました。 相変わらずこれぞ手描きの本領みたいな柔らかいタッチがいいです。 ほのぼのとした日常の描写が多く、当時の生活の豆知識的な部分もあり、 実際はどんな生活をしていたのだろう?という点も興味深く読めました。 温かく丁寧に描き込まれた作品です。 私は連載されている雑誌の方は読んでいませんのでこれ以降の話はまだ知りません。 でも、間違いなく知っていることがあります。 それは、呉が空襲を受けたこと、 そして昭和20年8月6日午前8時15分に広島に原爆が投下されたということ。 このマンガでは、毎回のタイトルが月日を表します。 上巻の最初の話は『9年1月』。昭和9年1月のことですね。 本編第一話が『18年12月』。戦争中期に当たります。 中巻はサイパンが陥落し戦況が極度に悪化する『19年7月』から始まり、 沖縄戦がはじまる『20年4月』まで。 呉空襲まで3ヶ月、原爆投下まであと4ヶ月・・・ 恐らく完結編となるであろう下巻では、 ついにその瞬間に立ち会うことになるのかも知れません。 ・・・あるいは描かれないのかも。 拍子抜けするほど淡々と生きている彼らの運命はどうなるのだろう。 いずれにしろ、物語の登場人物は一人としてこれから起こることを知らないわけで・・・ 読んでいる私はついつい先のことを考えてしまいます。 ページをめくる度に『あの日』が近づいてくる・・・ この世界の片隅に。 確かにそこには生きた証があった。 作者のこうのさんは広島出身だそうです。 静かな中にも当時の『リアル』にかなり迫った作品だと思います。 おすすめです。 この作品は現在マンガ雑誌『漫画アクション』連載中です。 web漫画アクション HP ↑1話分タダ読み出来ます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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