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カテゴリ:本
100年分のベストセラーをぶった斬る快著。そして3分に1回笑える本。
『百年の誤読』 岡野宏文・豊崎由美著 筑摩書房 オビにはこんな文字が。 剥がします、ベストセラーの化けの皮 明治の文豪から昭和の重鎮まで 20世紀文学を読みつくす!! パラパラと本書で紹介(というかぶった斬り)されてる本を見ると、 20世紀を代表する作品がズラリと並びます。 徳富蘆花『不如帰』、芥川龍之介『羅生門』、吉川英治『宮本武蔵』、 三島由紀夫『潮騒』、最近では『マディソン郡の橋』『失楽園』『ハリポタ』 『セカチュー』・・・ 今まで売れに売れたベストセラー本が目白押し。 しかしほとんど読んだことない本ばかり。 私が読んだことがあったのは、100冊以上ある中で1割程度でした(とほほ) なので過去のベストセラー本の良い勉強になるかなと思い本書を購入して読んでみました。 そしたら予想以上の面白さ! やはりタメになりましたね。 結構分厚い文庫本でしたが、 対談形式なのと、下段3分の1が注釈欄になっているのとで、 思ったよりも早く完走出来ました。 1900年から2004年まで10年刻みでその時代のベストセラー本をチョイスし、 岡野・豊崎両人が対談形式で『けっ、ベストセラーだからなんだっつ~のよ!』的視点で バッサバッサとぶった斬っていきます。 もちろん良い本はちゃんとフォローしてますが、 この2人の読書量は半端ないのでしょうね、博覧強記ぶりが凄い。 本屋からするとベストセラーは非常にありがたい存在です。 普段読まない人も手に取ってもらえる。 イコール売上が良くなる(笑) 特に100万部を超えるようなものは、ベストセラーというよりも社会現象とでも 呼ぶべきものに昇華するので、そこから派生した本も売れて嬉しい。 ただ、最近ではベストセラー『しか』売れない状況が目立ってきているのも現実。 去年も100万部を超える作品が何点も出たにもかかわらず、 業界は不振に喘いでいます。なんでじゃろと。 本書の冒頭で岡野さんはこう書いてます。 ベストセラーの正体って、もしかして、ひょっとして、万が一、・・・ヘナチョコ? もしかしたら売れない原因の一つはここにあるのかも。 話題に乗ってベストセラーを読んでみたものの、 実際に読んでみたら『???』な内容で、 ソッコーでブック●フ行きになってしまっているのではないかなあ。 それで次の本に手が伸びない状況になってしまっているのではないかと。 もういいやって。 それにちゃんと良書(これが難しい)を提案しない本屋の責任もあると思います。 ネット空間をさまようと、いかに多くの人がたくさん本を読んでいるかが分かります。 その内容もベストセラー偏重ではなく多種多様。 だから本屋もベストセラーばかりに頼っていてはダメなんですよね。 もっと面白い本を提案しないと。 ついそんなことを考えてしまいました。 でも、ベストセラーは置くけどね。今だと『悼む人』『告白』あたり特に(笑) 『告白』は先週の王様のブランチで取り上げられたので、一気に売れてます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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