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カテゴリ:本
死刑制度、賛成?反対? 新人刑務官と或る死刑囚の物語。
『きらきらひかる』の郷田マモラが描いた社会派マンガ。 死刑制度について随分と考えさせられました。 『モリのアサガオ』 郷田マモラ 双葉社 2004年。大阪にある『なにわ拘置所』に配属になった主人公及川直樹。 元拘置所長でキャリア組だった父のコネで、 大学を出たばかりでいきなり死刑囚舎房に回されることに・・・ この及川を中心として、死刑囚、刑務官、家族らの人間模様を横軸に、 死刑制度を縦軸にして濃厚なドラマが展開されます。 郷田さんの取材が徹底しているせいか、死刑囚の実態や 死刑囚舎房の様子などがリアルに描かれていますが、 それだけではなく、個々の死刑囚の内面や及川の死刑制度に対する 考えが揺れていく様が丁寧に描かれていきます。 この作品は、及川と一緒に死刑について『賛成』と『反対』の間を行ったり来たり、 ず~っと考えながら読んでましたね。 どちらにも言い分がある。これは本当に難しい問題。 郷田さんの一筋縄ではいかない話の持っていき方が上手いなあと感心。 10年越しの復讐殺人によって死刑囚となった渡瀬満と及川の魂の交流、 その他、ミステリー要素もあって、最後まで一気に読ませる展開でした。 そして、何度も何度も涙が溢れて仕方がありませんでしたね。 『死刑』とは一体何なのか。 そして賛成、反対、と簡単に断じて良いものなのかどうか、 実に色んなことを考えさせられました。 良作です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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