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テーマ:お勧めの本(7397)
カテゴリ:本
最近また忙しくなってきたので、なかなかまともに本が読めませんでしたね。
でも、ようやく『納棺夫日記』読み終えました。 『納棺夫日記 増補改訂版』 青木新門著 文藝春秋 死体に直接触れる湯灌・納棺の仕事は、時に蔑まれ、忌むべきものとして タブー視されてきたようで、死後硬直が始まり、冷たく固くなった死体には、 お坊さんも触れたがらなかったそうです。 でも著者は身内から絶縁を言われても誇りを持って納棺の仕事を続けていきます。 『納棺夫』という言葉には『生』と『死』を真摯に見つめてきた著者の 強い思いが込められているのかなとも思いましたね。 本書は『日記』となってはいますが、単に時系列を追って納棺夫の日常を 綴ったものではなく、著者が親しんだ宮沢賢治や金子みすずなどの素晴らしい詩や、 親鸞の教え(私は不勉強です。はい。)、宗教と科学などの考察に満ち満ちています。 著者はいいます。『生』と『死』という風に分けて考えるのではなく、 『生死』で一体なのだと。 なんか、ガツンとやられた感じ。 自分ではまだまだ若いと思っているので(笑)、『死』などというものは まだまだず~っと先の話だと思っているのですが、『生』ばかりを礼賛していても、 それはモノを片方からしか見ていないようなもので、 『死』も合わせて考えて初めて『生』も活きてくる、 ということを教えられたような気がします。 例えれば、漆黒の闇の宇宙に浮かぶ青い地球の姿を思い描いて 初めて地球の有難さを感じるようなものでしょうか。 私的には宮沢賢治や金子みすず以外にも、正岡子規(『病床六尺』)や キューブラー・ロス(『死ぬ瞬間』)など数々の本が出てくるので、 その点でも多いに読んで良かったなと思いますね。 これらはぜひとも一緒に陳列して売りたいなと(笑) この本が原案の『おくりびと』のDVDを予約してしまったので、 発売日の18日が待ち遠しい感じです。 発売前に読み終えて良かった。 ・・・蛇足 本書の後半、著者がある一枚の写真に衝撃を受けたことが綴られています。 私が旧満洲で、弟の死体をくすぶっている石炭の上に置いてきた のは、八歳だった。 写真の少年も同年のように見える。 私には、この写真だけで他の悲惨な写真を見る必要もなかった。 弟の死体を背負った少年の直立不動の凛々しい姿の中に、 戦争の悲惨さや人間の悲しみが全てあるように思えた。 その写真とは『焼き場の少年』のことです。 以前書いた記事 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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