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2010.08.20
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カテゴリ:ドラマ
スピルバーグとトム・ハンクスが手掛ける壮絶なる太平洋戦記ドラマ。

     ザ・パシフィック.jpg


現在、WOWOWにて毎週日曜日に放送されている全10話のTVドラマシリーズです。

 『ザ・パシフィック』 公式HP


映画『プライベート・ライアン』では監督と主演の関係であったスピルバーグと

トム・ハンクス。その2人がタッグを組んで、同じ欧州戦線を舞台にした

『バンド・オブ・ブラザーズ』というTVドラマシリーズを制作しましたが、

今回の『ザ・パシフィック』では、その名の示す通り太平洋戦線での

第1海兵師団の行動を中心に描いています。


『プライベート・ライアン』以降、そのトーンを抑えた映像、目の前で本当に

戦争しているとしか思えない表現、主義主張よりもそこで何があったのか、

を徹底して追求するリアリズムに惹かれて観てきましたが、

『ザ・パシフィック』でもそれらが踏襲されており、悲惨度はさらに上をいく。

熱帯のジャングルでの戦闘の過酷さ。

欧州戦線とは異なり、非文明の真っ只中。

それに、米兵による日本兵に対する残虐行為。これが繰り返し出てくる。ひどい。

ここまで描いたアメリカ作品は過去なかったのではと思えるほどに直接的だ。

確かにこれは地上波では無理だなと納得。

『ジャップ』という呼び方が散々出てくるのは事実そうであったのだから当然として、

ここまで描いて大丈夫なのかと余計な心配をしてしまう。

実在の3人の兵士の手記を元にドラマ化しているので、それを忠実に再現したいと

いうスピルバーグの姿勢には今回も拍手を送ろう。

ただ、日本兵の内面はほとんど描かれていないので、その感情は窺い知れない。

ベトナム戦争もののベトコンみたいな戦闘マシーンになっている。


主人公ら第1海兵師団がガダルカナル島に上陸して以降、

メルボルンでの休息、ニューブリテン島南部での戦闘を経て、

ペリリュー島に上陸したところまで現在放送されています。

今後、硫黄島~沖縄と描かれていくようですが、

第1海兵師団が常に最前線での危険な上陸作戦を引き受け、

日本を追い詰めていったということが示されていくのでしょう。

      
   ↑ノベライズ     ↑主人公の一人、ユージン・スレッジが書いた本
   

             メイキング映像
             




脱線しますが、今、ドナルド・キーンの『日本人の戦争』を読んでいます。

   

本屋の片隅で棄てられたような安い値段で置かれていた源氏物語を

戦争直前に読んで日本に興味を持ったという氏。

アッツ島以降の戦争を経験。その間日本兵の日記を読んで分析したり日本兵捕虜の尋問を

行うなど『ナマ』の日本兵に接した日本語の出来る数少ない米軍兵士でした。

そして戦後は日本文学の碩学に。

そんな体験を持つ氏が戦時下の日本人作家の日記について書き記した素晴らしい本です。

日本兵、日本人の内面に一番詳しい元米兵が氏だと思います。

いつかスピルバーグの手によって、彼の体験が映像化されないかな・・・

と淡い期待を持っております。







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Last updated  2010.08.20 14:23:53
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