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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2006.09.07
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カテゴリ:映画
キンキーブーツ(原題KINKY BOOTS)
kinkyboots
オフィシャル・サイト(日本語)


製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ/イギリス
上映時間 107分
監督: ジュリアン・ジャロルド
脚本: ジェフ・ディーン、ティム・ファース
音楽: エイドリアン・ジョンストン
 
出演: ジョエル・エドガートン/チャーリー・プライス
キウェテル・イジョフォー/ローラ
サラ=ジェーン・ポッツ/ローレン
ジェミマ・ルーパー/ニコラ
リンダ・バセット/メル
ニック・フロスト/ドン
ユアン・フーパー/ジョージ
ロバート・パフ/ハロルド・プライス

●あらすじ
イギリス北部の田舎町ノーザンプトンで3代目の父が経営する靴工場で育ったチャーリィはかなりの優柔不断。そんな彼が婚約者のロンドン転勤を機にロンドンのアパートを物色中だったが、父の急死の知らせが届き工場を継ぐために急遽田舎へ戻ってくる。
父から残されたのは、古い職人気質の靴工場。だがそこの経営状態は最悪で倒産寸前、問屋も倒産して卸し先も無い状態であった。
古くから勤める工場の従業員15人の首を泣く泣く切ったが、それでも経営は立ち行かず、4代目チャーリィは、いよいよ倒産か工場売却かの決断に迫られる。
そんな折に出会ったのがドラッグクィーンのローラであった。
ローラはヘビー級の体格でありながらも、子供のころから女装癖があり、今はおかまバーの歌姫であった。しかし、体格の良いローラたちドラッグクィーンは日ごろ女性の靴を愛用しているが、作りが華奢なために脆くてすぐに壊れるのが悩みであった。
それをみたチャーリィは工場の復活を賭ける新しい商品として、服装倒錯の人々向けの靴、すなわち男性向けセクシーブーツの開発に活路を見出す。やがては工場をあげてキンキーブーツを作り、ミラノの展示会に出品による商談成功に、彼のすべてを賭けることになる。

●情報とか感想とかいろいろ
ノーサンプトンに実在する靴工場での実話が基になっているという。
サンダンス映画祭で絶賛され、日本でも単館上映ながら連日満員御礼状態の良作である。
出演者も地味ではあるが、主演のチャーリィ役ジョエル・エドガートン・・・どっかで見た顔だなぁと思ってパンフレットを確認したら、スターウォーズ2と3に登場した人でした。そう、あの、最後にタトウィーンの2つの太陽が沈む夕焼けを眺めたたずむ・・・スカイウォーカーの双子の男の子を預かる若き夫婦役の夫のほうでした。ルークの育ての父ですね。あちこちの解説では優柔不断と書かれていますし、実際そういう部分もありますが、むしろ平凡だけど本当は芯のある男性として描かれていて、なかなかの好演。しゃべり方や声の感じが実はユアン・マクレガーそっくりな印象があって、これってイギリスのスコットランド系のなまりとか発声ということなのかな?
そして、本作でもっとも目立つ存在の歌って踊っりながらも倒錯者である自分の存在に悩むドラッククィーンのローラ役がキウェテル・イジョフォー。

そして、タイトルのKinky(キンキー)ですが、これ、訳すと「変態」という意味。
すなわち、映画タイトルを直訳すると「変態ブーツ」となる(笑)。

主人公は最初に出てくるときは自分の意思をあまり表に出さないへたれで、長年の信頼を持つ貴重な従業員を解雇するときの言い訳のことばが「What can I do?(どうしたらいい?)」。そんな彼が、気骨のある女性従業員とのやりとりや、キンキーな衣装でないと本当は気の弱いオカマ男のドラッグクイーンのローラと言葉を交わすうちに、自分の進むべき道を見出し始める・・・というハートフルなコメディ。
いろいろな人を受け入れていくことの大切さ、自分らしさとはなにかを追及することの難しさと、難しいがゆえに自分を貫くことの重要さ、そして信念を持って生きることの大切さ素晴らしさを教えてくれる、そんな作品です。

簡単な宣伝を見ただけの印象では、もっとどぎついどたばたコメディなのかと思っていましたが、ぜんぜん違いました。
非常にまじめに丁寧に作られた、地にしっかりと根をはやしたような、人の心の温かさと弱さがとても身に染みる、多様性を受け入れることでどれだけ暖かい心になれるかをしみじみと実感させてくれる、そんな作品に仕上がってました。
あまりに田舎町で、おかますら見たことがない従業員が、ブーツをデザインするために都会からやってきたローラをからかったり挑発したり彼の美貌に戸惑ったり。
一方のローラも、はじめ威勢良く女装、しかし途中で素に戻ってみたりもして、なんとか周囲の人に溶け込もうと努力します。
それでもローラはローラであり、自分を偽ることが出来ないのが彼の長年の悩みであり、なぜ男なのに男として普通に生きられないのかという疑問に解は出てきません。
一方の一生懸命生きているチャーリィも、ただ一生懸命に誠実に生きているだけでは、世の中立ち行かないということがたくさんあるんだ、という事実に直面します。
そんなそれぞれの人生の矛盾や悩みや事件を通して、結局、人は流されていてはだめで、時には殻を破って自分から積極的に挑戦をしないとだめなんだということを教えてくれます。
本当に素敵で良いお話でした。

85点の4つ星。

さて、森川さんのファンクラブ情報によれば、DVDでは以下の声優さんが吹き替えを担当されたことがわかってます。
森川智之、三宅健太、浅野まゆみ、石塚理恵
(たぶんこの順番ならば、左から順に、チャーリィ、ローラ、ローレン、ニコラかな?)
なかなか手堅いメンバーなので、DVDでの吹き替え版を見るのもこれまた楽しみです。





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Last updated  2006.09.07 17:43:15
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