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カテゴリ:墓場に住みついた元・哲学部教授のことば
[仕事の流行り廃り]
ここのご近所さんたちは何をして生計を立てているかって? 残飯漁(あさり)は最近は流行らない様だね。コンビニのゴミ箱よりは、コンビニ裏のゴミ集積所に掘り出し物が溢れているというのは、この世界の者たちの常識のようだね。 ゴミ箱漁りは、食べ物というよりも、日々の生活で使えそうなものが当たり前のように捨てられているから、そうした生活必需品の収集のためのようだね。 雑誌拾いやダンボール箱拾いは、長時間・長距離労働の割りに実入りが少な過ぎるといつもいつも愚痴っている者たちがおるが、だったら辞めれば良いといつも言い聞かせているね、彼らには。 個室ヴィデオ鑑賞とかサラ金とかの看板を持って、朝から晩まで、照っても降っても、案山子(かかし)のようにしている者たちもおる。足腰の弱い者には到底勤まらないね。 いつかはリストラされて、ここのご近所さんたちのような生活を送るかもしれないと君が恐れを抱いているのなら、ひとつだけアドヴァイスしてあげようか? スーツ、ネクタイと靴下、革靴は、たとえ3日間食べられない時があっても、決して質屋に売ったりしてはだめだ。 何故か分かるかね? ここのご近所さんたちの少数の者たちは、公園の水道で体を清めてから身なりを整えて、デパート地下の食品売り場で試食をして、日々食いつないでいる者たちがいる。 有名人の出版記念や受賞記念、政治家の資金集め、企業の何周年記念などといった、ホテルで催されるパーティ会場に潜り込んで、鱈腹(たらふく)呑んで食べる者たちもいる。招待状がないからと断られるのは10回に1回くらいしかないそうだ。加藤君の大学時代のゼミの教授の重森ですなどと騙(かた)ればいいのだそうだ。 千円の香典を包んで、寿司や酒を堪能する兵(つわもの)だって何人かおる。 だから、一張羅(いっちょうら)だけは、どこに行ってどんな生活をするにしても、手放してはならないよ。 いつか社会復帰する時が来たら、また必要になる訳だしね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.27 10:31:09
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