~今日の話に入る前のあらすじ~
以前、プロレス観戦仲間だった友人がいて、数年前、
大動脈解離という、大変難しい病気で手術を受けました。
かなりまずいだろう、もしかして最後になるかもしれない、と思い、励ましの色紙を描いて、ダンナにも頼んだら
「ピンチの時にライダーは来ないと」
と言ってB3のでっかい色紙に仮面ライダーを描いてくれて。
それを持って横浜の病院までお見舞いに行きました。
本人大変喜んでくれて、幸いその後回復し、ダンナのサイン会にも来てくれて
「いつもあの色紙に元気をもらって頑張って生きています。」
と言っていました。
が、なにせ本当に深刻な病気です。
本人が「結婚ももうできないし・・・」
という、日常生活も難しい状態で、全快はありえず、段々辛くなってくる体と騙し騙し付き合っていく病気なのです。
今年の年賀状に返事が来なかったので、
「ああ、遂に帰らぬ人に・・・・」
と思っていたら、先月ひょっこり電話がきて・・・・
~ここから本題~
「この暑さで辛くて、今日は胸が痛くて痛くて、もうだめだ、とうとう俺も死ぬか・・・と思ったので、お世話になった人に最後の挨拶をしようと・・・・」
と言うのです。
「今年の年賀状は書く体力が無くて出せずにすみません。
今は外出も辛いので大体家にいて、食事は全部通販で買って、たまーにコンビニへ行って生鮮食品を買うくらいです。
なんとか障害保険で暮らしていますが・・・・。
頼みにしていた親戚は(両親も無く、妹も同じ病気で亡くしたいる)先にガンとかでどんどん逝ってしまうし・・・なんだかもう、本当に生きていて希望もないし辛いですぅ~」
私は出かけるところでしたが、
こんな電話をもらったら切れるわけがありません。
あのことは失敗だった、悔やまれる・・・とか、あの試合はああだった、とか、あの選手が本気でキレたのはあの時だけだよね、とか、マガジンZは潰れたんですか?とか、よもやま話をつらつらしていたら
「なんだか話していたら気分が楽になってきました。」
という。
人と話すって元気が出るよね。
(相手によるけど)
すると
「あの、心残りは、旦那さんの仮面ライダーです。
最初もっと早く終わる予定じゃありませんでしたっけ?
なんかどんどん延びていませんか?
どうか僕が生きている間に完結してください!
最終回を見ずに死んだら死に切れません。」
「いやいや、連載が終わるまで生きていてくださいよ!」
何か漫画など送るから、とりあえずはそれまで生きているように、と言い渡す。(期間短い・・・)
「他に、何か欲しいものなどありますか?」
「ありがとうございます。
あのーーーお忙しいところ本当に済みませんが、ひとつだけいいでしょうか?
銀子ママが洋服着たところ、とても好きなので、色紙をお願いできないでしょうか?
ボクもあんな店があったら、愚痴を聞いてもらいたい。
シバタみたいにからかわれてもいいから、話をしてくれる所が欲しいです。」
「わかりました。」
と返事し、電話を切った。
その後、ダンナの漫画やプレミアグッズなど送り、大変喜んでもらえたが、まだ銀子ママ色紙は送っていない。
「ママの色紙はもう少し待っていてくださいね。
それまで生きているようにね。」
といっている手前・・・・送ってしまったら次はなんといって生きていてもらわねばならぬのか。
送ったら満足して力尽きるか、それとも励みになってすこしでも元気を取り戻すか。
一か八かだなー、と思うと、どうも迷って筆が進まない。
けど、間に合わなくなっては困るし・・・。
そろそろ描かなくては。
涼しくなったので少し楽になっているといいな・・・と思う。
とりあえず、Oヘンリーの「最後の一葉」を参考にすると、ダンナは連載が終わっても、あたかも続いているように別に物語を描き続け、彼に送るしかないな。