食草から見た蒲郡の蝶のその6はツマキチョウを取り上げて見ました。この蝶が蒲郡にいることに気付いたのは2010年のことでした。その前年に幡豆町で見て蒲郡にもいるはずだと確信して探していて西浦半島の先端の海岸沿いを飛んでいるのを見つけました。2008年に出版した「蒲郡の蝶」には載っていませんでした。それは全く私の怠慢でした。今でこそ冬にも卵探しや幼虫、蛹探しをしますが、昔は冬は蝶がいない時期と考えていて、私も休眠中で春先だけに現れる蝶が出るころにはまだ寝惚けていたのです。
ツマキチョウ完成図 posted by (C)ドクターT
里山の道端に生えて、春に可愛い花が咲き、夏には枯れてしまうタネツケバナの仲間を食草として選んだこの蝶は蒲郡の spring ephemeral (春の妖精)と言えるかも知れません。
ツマキチョウ─タネツケバナ分布 posted by (C)ドクターT
一度見つかると蒲郡市内の広い地域で分布しているのが判りました。タネツケバナはいわゆる里山と呼ばれる都市部から山に向かって行くと人家が疎らになって、田畑が残っている場所で見られます。かと言って山の中には生えない雑草で、山の中を切り開いて出来た道路脇などでも眼にします。西浦半島の海岸沿いに多く見られるハマダイコンや河川沿いに多く見られるセイヨウカラシナ、西迫町の田畑の土手に多く見られるナズナも自然状態で食草になりうるとされていますが、蒲郡ではツマキチョウの目撃された場所には何処かしらにタネツケバナが生えており、その可能性は低いと思っています。