食草から見た蒲郡の蝶のその15はヤクシマルリシジミを取り上げます。この蝶はその名が示す通り南の方の蝶でしたが、近年温暖化に伴って、食草の種類が幅広いこともあり、分布を広げている蝶です。最初にこの蝶が蒲郡にも生息していることに気付いたのは2008年7月25日のことでした。清田町のマスミ池と言うところで、ルリシジミは前から見ていましたが、ルリシジミより表の色の青味が強いものがいるのに気付き、追いかけて停まったところを写真に撮り、ルリシジミではなくヤクシマルリシジミであることを見つけました。その違いは亜外縁のくの字状斑紋列が繋がって波線になっていること、後翅下縁付近の2黒点が繋がってくの字状になっていることです。
ヤクシマルリシジミ完成図 posted by (C)ドクターT
この蝶の食草はイスノキ(垣根などに使われている)、ノイバラ、テリハノイバラ、セイヨウバラ、バクチノキ、ヨメイヨシノなどのバラ科、ウバメガシ(海岸沿いの山に自生する)、その他マメ科、トウダイグサ科など多種に渡ります。その多くのものは蒲郡にもありますので、どれが食草でもおかしくはないのですが、飛んでいる場所から考えると一番よく食草として利用しているのは荒地に生えるテリハノイバラかなと思います。2009年7月23日、市民病院の横の西田川の土手でフジ(マメ科)の新芽に産卵しているヤクシマルリシジミを撮影(上写真の右下丸の中)していますので、フジも利用されているようです。
ヤクシマルリシジミ─テリハノイバラ分布 posted by (C)ドクターT
蒲郡でテリハノイバラが生えている場所は、川の土手や放置耕作地や山を切り開いて作った道路の土手などの手を入れられていないいわゆる荒地です。そのような場所にはフジのツルも巻き付いていたりします。