先日、一通の葉書が日本外科学会から送られてきました。それには今年外科学会専門医の資格更新の年であり、更新に必要な手続きが書かれていました。それによれば、
1.過去5年間の間の30単位の研修実績を証明すること(例えば外科学会総会参加証10単位など)
2.過去5年間に100件以上の手術に携わったことを証明すること(術者でも助手でもよい)
3.更新手数料10,000円を納入すること
1.と3.はクリア出来ますが、勤務医を辞めた今では2.はどうしてもクリア出来ません。
外科専門医の更新が出来ないと言うことはさらに外科専門医を取った上で取ることが出来る日本乳癌学会乳腺専門医と日本内分泌外科学会内分泌外科専門医も失うことになります。
学会が認定する専門医制度は日本ではあまりにも多く、それを取るには更新よりももっと厳しい条件が課されていて、取るのに相当の時間と費用を費やしました。でも専門医を取ったからと言って何もよいことはありませんでした。専門医があるからと言ってそれを給料に反映してくれる病院は聞いたことがありませんし、専門医がないからと言って手術が出来ない訳ではありません。
国家試験に通って医師免許をもらうと昔は大学の医局に入局して医学博士号を取ることが目標となりましたが、最近は2年間の臨床研修が義務づけられ(臨床研修を受けなければ開業出来ない)、大学には戻らずに病院で専門医取得を目指す人が増えて来ていると聞きます。専門医取得を目指す若い人たちをけなす訳ではありませんが、日本の学会が認定する専門医はインセンティブがありません。病院に勤めているうちはよいでしょうが、辞めてからの更新が難しくなります。