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カテゴリ:食品
© ITmedia ビジネスオンライン 西友と楽天が協業するネットスーパーは順調なスタートを切った。写真は西友東陽町店(東京都江東区)
共働き世帯の増加やインターネット通販(EC)の拡大を背景に、生鮮食品や日用品などを取り扱うネットスーパーの存在感が高まりつつある。スーパーに足を運んで買い物をするケースがまだまだ多いものの、ネットスーパーを併用する人も増えていきそうだ。 一方、現時点で日本のネットスーパー市場は“伸び盛り”とまでは言えない。経済産業省が5月に公表した、2018年度の電子商取引に関する市場調査によると、食品・飲料・酒類のEC化率(全ての商取引の中でECが占める割合)はわずか2.6%。30%を超える家電などと比べても低い傾向にある。また、18年にプラネットが実施した意識調査によると、ネットスーパーを「全く利用しない」という回答が約8割を占めた。 そんな中、18年10月にグランドオープンした「楽天西友ネットスーパー」が順調に利用者を増やしている。楽天との協業を始める前に西友が運営していた「SEIYUドットコム」と比べると、新規会員獲得数は3倍のペースを維持しているという。 大手スーパーとEC事業者の協業としては、5月にライフコーポレーションとアマゾンジャパンが生鮮食品の販売で協業することを発表している。実店舗とネットはどのように融合していくのか。楽天西友ネットスーパーの特徴と今後の成長について聞いた。 ●「今日中」に対応へ、配送センター新設 「海外と比べてまだ市場は小さいが、ネットスーパーは確実に成長する分野だ」と、楽天西友ネットスーパーマーケティングのサービス開発担当取締役、野村佳史氏は強調する。西友が運営していたSEIYUドットコムも苦戦していたわけではなく、利用者は増加していた。 しかし、注文が増加するにつれて、課題が出てきた。需要に対して配送が追い付かなくなってきたのだ。利用者は、当日から3日以内で配送希望日と時間帯を選択することができるが、直近の枠はすぐに埋まってしまう状況だった。「『今日中に』とか『明日までに』という要望に対応できなくなっていた」と野村氏は振り返る。 楽天西友ネットスーパーでは、その問題を解消するため、物流・配送の拠点となるネットスーパー専用センターを千葉県柏市に新設。従来実施していた各店舗からの配送に加えて、専用センターを中心としたオペレーションを構築した。専用センターから、都内に複数ある配送拠点に商品を運び、そこから各家庭に届ける。配送業務の効率化を図った。 「店舗ごとの配送だけでは、店の人員やスペースにも限りがあるため、たくさんの注文に対応できない。共働きで夜しか受け取れないケースも多く、都合に合う選択肢がないと利用してもらえない」(野村氏)。現在も、地域や天候によっては枠が埋まってしまうこともあるが、以前に比べると問題は解消できているという。 さらに、専用センターを活用すれば、西友の店舗が近くにない地域でも利用客の広がりが見込めるため、ネットスーパーとしての成長にもつながるという。 専用センターの倉庫内では、両社の知見やノウハウを生かし、商品を並べる順番やレイアウトの改善を重ねて作業効率の向上を図っている。また、商品を仕入れて届けるまでの温度や鮮度の管理は、西友が培ってきたサプライチェーンを活用している。 ●新規会員登録が3倍に増えた理由 商品やサービスに関しても、西友と楽天が組むことによって相乗効果が出始めている。 その一つが、冒頭で紹介した新規会員獲得だ。SEIYUドットコムのころよりも3倍も新規登録されている理由は、楽天の会員サービスの基盤があることが大きい。楽天会員であれば、そのIDを利用することで簡単にネットスーパーの会員登録ができる。楽天会員にとっては、ポイントをためたり使ったりする場が増えることになる。 会員サービスの基盤を使ってさまざまな事業を展開する楽天にとっても、ネットスーパーにはメリットがある。「日々の買い物にポイントが使えれば、ポイントの利用頻度が高くなることが期待できる。そうなれば、アクティブユーザーの獲得につながり、より活性化する」と、経営企画担当取締役の武田正樹氏は話す。 最大2万品目という商品の品ぞろえについても、両社の連携による取り組みを強化している。有機野菜などを取り扱う「Rakuten Ragri(ラグリ)」の商品やお取り寄せグルメなど、楽天市場の人気商品をネットスーパーでも販売している。また、30~40代の子育て世代の利用者が多いことから、楽天の子育て世代向け会員プログラム「ママ割」とも連携。時短ニーズに対応したミールキットや半調理商品、カット野菜などの品ぞろえ強化や商品開発に生かしている。 ●配送キャパシティーにはまだ課題も 新しいテクノロジーを活用して、ネットスーパーの可能性を広げる動きも活発化しつつある。7月4日からは、両社でドローンによる配送の実証実験を行う。神奈川県横須賀市内の西友の店舗から、約1.5キロ離れた無人島へ、観光客が購入したバーベキュー用食材などをドローンで配送するという。今後の実験と検証が進めば、ネットスーパーでドローンが活用される可能性もある。 また、楽天が開発したAI(人工知能)エージェント「Rakuten AIris(アイリス)」を活用し、利用客の購買行動やニーズの分析も進めているという。 今後は、事業の拡大とともに、配送などのオペレーションのさらなる改善や構築を進めることが課題だ。柏市の専用センターから遠い地域など、配送の希望に対応しきれないこともあるため、「配送キャパシティーの問題は完全に解決したとは言えない」(野村氏)。各店舗の業務効率化や倉庫の増設などを含めて、「どのように投資して事業を伸ばしていくか、検討していく」(武田氏)という。 野村氏は「食料品は毎日どこかで買わないといけない。より便利なサービスを提供できれば、定着していくだろう。ECが日常生活の一部になる中で、楽天西友ネットスーパーが“選ばれる”ようになれば」と話している。 現状では、2社の得意分野や培ってきたノウハウをうまく融合させた運営ができているようだ。まだまだ伸びしろがあるネットスーパー市場で、より生活に密着したサービスを提供できれば、成長スピードは早まるかもしれない。 -© ITmedia ビジネスオンライン 2019/06/25 08:00 より一部抜粋- ネットでスーパーの代わりをしてもらうつもりはないのだが・・。 そんな時代が近くに来ているのかも。 ドローンの問題が解決していけば急激な変化があるね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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