ファーストラヴ [ 島本 理生 ]
【内容情報】(出版社より)
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
なぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?多摩川沿いで血まみれの女子大生が逮捕された。彼女を凶行に駆り立てたものは何か?裁判を通じて明らかにされる家族の秘密とは?
第159回直木賞受賞作品ですね。
島本さん、改めておめでとうございます。
やっぱり、買ってよかったです。
直木賞を受賞されてすぐだったので、在庫が入るまで少々待たされましたが。
すでに私が購入したものは、第5刷でした。
やっぱりすごいのね。
直木賞受賞って。
もちろんそれだけではなくて、島本さんの本だから購入されるって方も沢山いらっしゃるんでしょうけど。
私はどちらかというと、そちらがわなので。
いやー。
先日の『ゴロウデラックス』も拝見しましたが、タイトルからは予想出来ない、かなり重たい内容でした。
臨床心理士かー。
大切なお仕事ですね。
虐待のカタチにも色々あるんだなと思いました。
一昔前では『仕方のないこと』で片づけられていたことが、実は深刻な問題だったのかもしれないですね。
人それぞれ、心に傷を負うことは異なるんでしょうけれど、もしもそれが避けられるのなら、受けずにすむようになるのなら、それに越したことはないわけですし。
環菜自信が、自分が受けてきた傷について語る裁判のシーンは、読んでいて切なくて泣いてしまいそうになりました。
心の中で、頑張れ!って声を掛けてしまうような。
自分の傷を素直に認めて、それを曝け出すのって、本当は勇気のいることで。
それを受け入れられずに生きてきた環菜には、さらに勇気のいるものだったはずで。
最後は救われる内容でよかった。
いや、問題が全て片付いたわけではないですけど。
幸せなシーンで終わるのはやっぱりいいですね。
優しい気持ちになれました。