武道館 (文春文庫) [ 朝井 リョウ ]
【内容情報】(出版社より)
【正しい選択】なんて、この世にない。
「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に”自分の頭で”選んだ道とはーー。
様々な題材を通して現代を描き続けてきた著者が今回選んだのは「アイドル」。
視聴者のあいだで物議を醸したドラマ化を経て、待望の文庫化。
解説には、音楽家として多くのアイドルをプロデュースしてきたつんく♂を迎える。
結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。
独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。
そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。
「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」
「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」
恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業……
この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、
アイドルという存在から発生したものも多い。
新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。
現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。さまざまな手段で人気と知名度を上げるが、ある出来事がグループの存続を危うくする。恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル…“アイドル”を取り巻く様々な言葉や現象から、現代を生きる人々の心の形を描き表した長編小説。
先週の金曜日、BSフジで放送されていた『タイプライターズ~物書きの世界~』の、地上波初回(こっちの地方では放送されてませんでした)を、昨日観ました。
この番組、『ピース又吉直樹とNEWS加藤シゲアキが今注目の物書きの方をお招きし、その頭の中をのぞき見する。』っていうコンセプトで始まった番組で、今も放送は続いていますが、地上波版はこちらでは相変わらず見られず(泣)、BSで入ったものを録画してる見てる感じです。
そうそう。
私が見たかったのは、こっちの地上波のほうのやつで、私は作家さんのお話を聞きたかったんだよー!って思った次第です。
で、初回は朝井リョウさんがゲスト。
この回の放送は、2015年の6月でして、この「武道館」が出たころだったんですねー。
私は、まんまと(?)、この『タイプライターズ』を観たら、無性にこの本が読みたくなって。
図書館に昼過ぎに借りに行って、その日の23時前に読み終えてしまいました。
そんな風に読んじゃいけないって思いつつね。
最近は、深く考えて読むことをしなくなっているのか、集中するとあっという間に読んでしまいます。
作家さんの気持ちを考えたら、そんな風に読んじゃうのって申し訳ない気持ちになるんですけど。
いやー…。
なぜこの時期なんだろうと。
この『タイプライターズ』の再放送が、今だったんだろうと。
”アイドル”っていうものについて、朝井さんは、”地球外生命体のようなもの”って言っていて。
加藤シゲは、「この本に書かれてるみたいに、自分がなんでここにいるのか…原点がわからなくなったことがある。」と言って。
又吉は「でもやっぱり”アイドル”って必要なんやなって思った。」って言っていて。
うーん…。
簡単にこの感情を表現できなくてもどかしいんですが、この本を読んだことで議論が生まれるのが嬉しいって言っていた朝井さんの言葉が、今の自分に嵌ってしまったというのか。
「アイドルの仕事って、夢をみせることでしょ」っていうるりかのことも、自分は自分でしかないって思った愛子のことも、どっちもすごくよくわかる。
それは、アイドルを好きになったことのある人なら、きっとそうなんだと思うんですけど。
「でもね、夢って、叶ったら幸せになる人がいるときに使う言葉だと思うの、私」
この愛子の一言に、胸がぎゅっとされたっていうか…。
私も一時、そう思った瞬間がありました。
「アイドルは夢をみせるのが仕事」ってね。
けどなー…
アイドルがみせる夢ってなんだ?
それって、夢っていうか、理想と現実の、理想のほうだけを見せるってことなんじゃないのか?
そう思ったわけです。
アイドルだって普通の人間。
それは誰だってわかってるはずなのに、そこは見せられると、悲しい気持ちになるとか、あるいは怒りの感情すら沸いてしまうというのか…。
いや、そこなんじゃないのかな?って。
だから、私的に一番重い罪を犯してるのは、そういう必要のないことを暴露する媒体…
マスコミ?マスメディア?なんじゃないのかなーって、思うんですけどね。
アイドルとしての責任。
それって、本当に責任なのか?
それは、アイドルとして、絶対に果たしていかなきゃならないものなのか?
そういうことを考えさせられたりしました。
さて…
この本を読み終えた後、嵐さんの「SONGS」を観たわけですが…
それは、あちらのお部屋で呟こうと思います。