あなたの愛人の名前は [ 島本 理生 ]
【内容情報】(出版社より)
直木賞受賞第一作!
すれ違う大人の恋愛を繊細に描く、全六篇の作品集。
「あなたは知らない」……私を「きちんと」愛してくれる婚約者が帰ってくる前に、浅野さんと無理やり身体を離して自宅までタクシーでとばす夜明け。ただひたすらに「この人」が欲しいなんて、これまでの人生で経験したことがない。
「俺だけが知らない」……月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない、優しく笑うだけの彼女を前にすると、女の人はどれくらい浮気相手に優しいものなのか、思考がとまる。
同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心をそれぞれの視点から描いた1対の作品。他の収録作品に「足跡」「蛇猫奇譚」「氷の夜に」「あなたの愛人の名前は」など。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
二人の心をそれぞれの視点から描いた一対の作品。すれ違う大人の心情を繊細に描く全6篇の作品集。
【目次】(「BOOK」データベースより)
足跡/蛇猫奇譚/あなたは知らない/俺だけが知らない/氷の夜に/あなたの愛人の名前は
島本さん、直木賞受賞後第1作目ですね。
あー、短編集かー。
と思った私の落胆はすぐに晴れ、とても面白く読むことが出来ました。
それというのも、ちょっとずつ繋がってるお話たちだったのでね。
私的には、やっぱり『あなたは知らない』が面白かったかなー?
そのあとの『俺だけは知らない』もありきのお話ですけど。
それにしても、やっぱり島本さんの表現の仕方は独特だなーと思うわけで。
『足跡』の中の
『足の親指が、生温かい暗闇に包み込まれていく。』
とか
『ベランダに出ると、夜空は無数の星のすみかだった。』
とか
なんて秀逸なんだろうと思ったり。
この本のお話の中の女性は、本当に好きな人とは、形から一緒になった人とは後から出会ってしまうんですね。
それって、まあ、あることなんだろうなーと思ったりもしますが。
その”本当に好きな人”に出会うことを待ってしまうと、なかなかその瞬間に踏ん切りがつかなかったりするんでしょうけども。
ま、思うに。
私は、ずっと続く恋愛感情なんてないと思っているのでね。
それは変化していくものだと思いますよ。
ずっとドキドキときめいてしまうなんて、実際にはありえないでしょ?って。
そこを求めてしまえば、結婚なんていう制度は、あるだけ無駄と思えるというか。
ときめきを求めている間は、安心なんてあり得ないわけで。
それがどっちに転ぶかわからない状態だから、上がったり下がったりでドキドキしたりときめいたりするんだと思うんですよね。
結婚は、ときめきじゃなく、お互いのことを思いやる気持ちなんだと思います。
それが持てないんだとしたら、それは結婚には向いていない関係性なんじゃないかな?
なんて、勝手なことを言いまくってますけど(笑)
島本さん、やっぱり好きだなー。
短いお話の中にも、それぞれの世界が広がっていて。
その現実ではないパラレルワールド的な世界を表現するのが、普通にできる人なのかな?って思います。
いや、単なる私の勝手な分析でしかないんですけどね(笑)