もうひとつの世界

​
生のみ生のままで 上 [ 綿矢 りさ ]​​


​
生のみ生のままで 下 [ 綿矢 りさ ]​



【内容情報】（出版社より）
「私たちは、友達じゃない」

25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。

彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘うーー。
綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。


【内容情報】（出版社より）
「どんな場所も、あなたといれば日向だ」

互いに男の恋人がいるのに、止めようもなく惹かれあう逢衣(あい)と彩夏(さいか)。
女性同士、心と身体のおもむくままに求め合い、二人は一緒に暮らし始めた。芸能活動をしていた彩夏の人気に火が付き、仕事も恋も順調に回り始めた矢先、思わぬ試練が彼女たちを襲う。切ない決断を迫られ、二人が選んだ道は……。

今まで裸でいても、私は全然裸じゃなかった。常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い、一糸纏わぬ姿で抱き合えば、こんなにも身体が軽いーー。
女性同士のひたむきで情熱的な恋を描いた、綿矢りさの衝撃作!


綿矢りささん。
もう読むの４作品目なんだなー。
今、確認してちょっとびっくり。

これ、どうやって読むのかなーと思っていたらちゃんとフリガナふってありました。
きのみきのままで　なんです。

前に、王様のブランチで紹介されていたのをちらっと見た気はするんですけどね。
「女性同士の恋愛もの」ってくらいの認識しかありませんでした。

そっかー。
主人公、逢衣の恋人、彩夏は芸能人っていう設定だったんだ。

そうなるとね。
色々と考えてしまうというのか。
スキャンダルが出たときの、事務所側の対応とかね。
やっぱり、そういう感じなのかなー？と思ったり。

ただね。
それだけではないですよね。
何せ題材は、女性同士の恋愛なのでね。

そこは、芸能人の恋愛以上の難しさもあったりして。

なんだろね。
どうしようもないことっていうのは、やっぱりあるわけで。
制御出来るとしたら、そんなのはもう、純粋な『好き』って気持ちではないのですよ。

なんていうのかなー。
幸せになる権利ってのは、どの人にもあるわけで。
それをどうこういう資格は、どの人にもないんですよ。

彩夏のその時に、彼女の隣に『いつか自分が立てるかも』と期待できる余白が必要だったんだとしても。
瑕の無い私生活を送っているほうが、良かったんだとしても。
彩夏だって、人間なんだから。
恋愛する自由、っていうのか、幸せになる権利ってのは、奪っちゃいけないでしょ？

いや、わかりますよ。
応援してる芸能人のプライベートが、それが恋愛事情だとしたら尚更、どれだけのショックをファンの人に与えるのかっていうのは。

だからさー。
そこは、放っておいてあげられないものなんだろうか。

知らないほうがいいことだって、絶対あるんだからさ。

…っていう、かなり偏った読み方をしてしまった私です。
面白かったです。
あっという間に読んじゃいました。
装丁も素敵。
栞用の紐（？）も、水色とピンクっていう素敵な感じでした。