百合中毒 [ 井上 荒野 ]
内容紹介(出版社より)
二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。
二十歳下のイタリア人女性と恋仲になり一緒に暮らしていたが、彼女が一人で帰国してしまったというのだ。
しかし娘たちはとっくに大人になり、妻にはすでに恋人がいた。
次女の遥は叫ぶ。「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」
長女の真希は苛立つ。「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」
妻の恋人・蓬田は夜ごと彼女からの電話を待つ。「俺はまるで女子高生みたいだな」
そして妻の歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを。
家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
久しぶりの荒野さん。
相変わらず、読ませるのがお上手で。
あっという間に読んでしまいました。
家族の在り方…かー。
それぞれの想いが、なんとなくわかる気がして。
恋愛ってものの不確かさ、みたいなものも書かれている作品ですね。
母親である前に、女性としての自分がいて。
妻である前に、自信のない自分がいて。
不倫相手である前に、その恋に夢中なのかどうかわからない自分がいて。
いや、そんなもんだよなー。
というのが、私の感想です。
確かな答えなんてどこにもないんだよな。
それは自分がどう決めるかでしかないんだから。