信仰 [ 村田 沙耶香 ]
内容紹介(出版社より)
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の最新短篇&エッセイ
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」
好きな言葉は「原価いくら?」で、
現実こそが正しいのだと、強く信じている永岡。
同級生から、カルト商法を始めようと誘われた彼女はーー。
信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。
〈その他収録作〉
★生存
65歳の時点で生きている可能性を数値化した、
「生存率」が何よりも重要視されるようになった未来の日本。
生存率「C」の私は、とうとう「野人」になることを決めた。
★書かなかった小説
「だいたいルンバと同じくらいの便利さ」という友達の一言に後押しされて、クローンを4体買うことにした。
自分を夏子Aとし、クローンたちを夏子B、C、D、Eと呼ぶことにする。
そして5人の夏子たちの生活が始まった。
★最後の展覧会
とある概念を持つ星を探して、1億年近く旅を続けてきたK。
彼が最後に辿り着いた星に残っていたのは、1体のロボットだけだった。
Kはロボットと「テンランカイ」を開くことにする。
ほか全8篇。
久しぶりの村田沙耶香さん。
短編小説とエッセイが収録されています。
海外からの依頼も受けていて。
ほかにも翻訳されているものもあるんですね。
すごいな。
表題にもなっている『信仰』は、2019年の2月の作品のようですが。
ここ最近、話題になっているカルトについて書かれています。
信じることの危うさ…ね。
村田さんは、前にも宗教についての作品を書かれていたと思いますが。
最近の出来事で思い出したのは、中村文則さんの『教団X』の方でしたね。
あれは今読むと、より一層怖さが増すような気がします。
村田さんのこと、前は『かなり変わっている人』と思ってた私。
けど、違ったのかもなと、今回の作品を読んで思いました。
実際の今の世の中の動きとかを見ていると、村田さんが考えていることって強ち間違ってないのかな?と思えたりして。
「生存」なんかはまさしくそうで。
この格差社会って、突き詰めるとこういうことになっていきそうな感じがします。
私は今、どのランクにいるのかなー。
Aでは絶対ないし。
Bにいられるとしたら、それは私個人のというよりは、旦那の存在のおかげって気もするし。
ということは…C?
なんてことを考え始めると、本当に怖くなってしまいます。
だからといって、嘘で守られたAであるのは絶対に嫌だなー。
そういう人、きっといっぱいいそうだよなー。
そんな世の中にしてしまったのは、一体誰なんでしょうかね?