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祈りと幸福と文学と

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もず0017@ Re[1]:「狼の女房」 「ふくやま文学」第36号に掲載(03/02) 象先生 メアドは変わってないのですが、…

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2019.12.29
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カテゴリ:詩集「ナーハム」
ナーハム

         ナーハム、ナーハム(慰めよ、慰めよ)
         わたしの民をと
         おまえたちの神は語られる
                 「イザヤ書」40章1節

    1
 風邪をひいてしまったので
 珈琲豆を挽きます
 あさの雨はドリップしたての珈琲が似合っているので
 眼のなかのガラス窓に
 これぼる冷たいしずくを集めて
 ドリップした珈琲が
 似合いすぎているので
 風邪をひいてしまって
 あさのつれてくる雨には
 僕の部屋の七つ目のドアから
 忘れていた旅人がひょっこり帰ってきそうだ

 ナーハム、ナーハム

     2
 僕の知らないうちに客が来て
 僕の知らないうちに帰って行く
 僕の毎日はいつもそんなふうだ

     3
 とじる翼 雨が横たわる
 冬のビルのように心細い
 欲望のかたち

 空き缶が転がっているような
 ありがちな、荒廃した風景の表紙に
 草色の文字を書き込む

 僕は赤い砂漠を知らないので
 赤い砂漠で煮込む、山羊の乳をしぼったチャイを知らないので
 透明な水だけを飲んでうまれてきた
 僕の歩いてきたあとには
 水たまりができて
 やがて乾く
 はじめからなかったみたいに
 愛されることが
 できないみたいに

      4
 空がこんなに青いのなら
 心くらい、それできれいになるのではないか
 汚れたり 落ちたり
 したがるのは なぜ?

 海を見たことがないから?

      5
 鳥たちがどうして北へ帰ってしまうのか
 僕たちがどうして一人になることを選んでしまうのか

 風が僕にやさしかったことは、一度もない

      6
 村は、村の社会は、僕らを抹殺し
 あるいは抹殺したみたいに
 鎮守の杜には古い石の祠があって
 青い苔のむした語り伝えと言い訳と
 積年の怨念が塗りこまれていて
 そうしたなにもかもを僕らは伝説と呼んで
 底なしの宇宙へと放した

 舞い上がった、小さな鳩

 軽くなった僕らはそうして
 ナーハム、ナーハム
 またしたたかに嘘を、つき始める

      7
 もういいから、そこで賢そうに黙っていろ
 知っているけどここでは言わないという顔をしていろ
 林檎は本当は赤くないんだという顔をしていろ
 いつでも告発する用意があるという目つきをしていろ

      8
 いつまでも死なないとすれば
 後世の人たちに迷惑をかけてしまうという
 僕らには死ぬべき道義的理由がある
 だけど理由があるという理由で
 死ぬやつなんか見たことがない

      9
 神の声は、嵐のまっただなかでこそ
 聞きとるもの

 ナーハム、ナーハム




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Last updated  2020.02.13 21:39:37
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