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プリアンプの試聴記を書いている間、矢継ぎ早に魅力的な新機種が発表、発売されてピュアオーディオの世界でも新たなムーブメントが起きていることを実感しています。
自分が買う買わないを問わず、新機種が出てきて新たなユーザーが沢山増えることは、以前80年代のオーディオブームを体感している自分としてはその再演(規模は小さいかもしれませんが)に期待したいと思います。 楽しくもあり苦しくもある、この「選択」という行為の幅が広がるのは素直に喜ばしいことです。 情報としては古くなりますが、私の「選択」の3台目に入ります。 マークレビンソンのNo.326sです。 No.32Lが製造を終了したようなので現在のレビンソンのトップということになります。 外見は非常にコンパクトで精悍な印象があります。 デザインは見るからに近代のレビンソンです。 重量はこのサイズから想像されるよりは重くがっしりとしています。 個人的には他の機器とのバランスを考えるともっと大きくてもいいかなと思いますが。 前面のノブはリモコン操作を前提としている為か、感触がなくフワフワしています。 中央のディスプレイは音量とインプットが表示されますが、大きいので離れていても確認し易くなっています。 又、インプットも表示名を指定できるので何を選択しているのか直分かります。 これは接続する機種が多くリモコン主導の場合は大変便利な機能だと思います。 背面は厚みがなくコンパクトの割にはよくレイアウトされています。 XLR3、RCA4と接続数にも特に不満はありません。 更にこれにオプションですがフォノイコライザーも組めるので、コンパクトな固体としては今のDVDレコーダー並みに多機能といえます。 物量が優先されるピュアオーディオ路線とは逆のような気もしますが、レビンソンが行うのであれば、これからの一つの指針になるのかもしれません。 但し、コンパクトの弊害もあります。 大型のインレットソケットを繋ぐとXLRの出力端子との間が殆ど無くなります。 接触はしていませんが、意識的にはもう少し隙間が必要だと思います。 No.326sの多機能はまだあります。 XLRとRCAのゲインの補正ができます。 ハルクロと同様ですがリモコンを主にする場合はこれも大変重宝する機能です。 使い勝手という面では今回の試聴機の中で一番ユーザーに優しい設計がされています。 今までレビンソンの音はショップで何回か聴いたことがあり、レビンソンの音はイメージとして理解していましたが、実際に自宅の自分のシステムでの試聴は今回が初めてなので、我が家ではどの様な音を出すのか興味と期待一杯での音出しです。 第一にS/Nは問題ありませんでした。 S9500のホーンに耳を近づけても多少シューシューと音が洩れてきますが他の機種と同等です。 音はハルクロのナチュラルさ、ラックスの濃さとも違います。 情報量、定位もハルクロ、ラックスとほぼ同等だと思いますが、力強さがあります。 音の芯が太いというか、今まで聴いてきた音が女性的だとすれば明らかに男性的です。 演奏される音楽を絵画に例えれば、アキュフェーズがシャープペンで描く繊細さ、ラックスが鉛筆の優しさ、ハルクロはサインペンの正確さ、レビンソンはマジックで描くような感じです。 グイグイと引っ張っていく力強さが際立っています。 重箱の端などの些細なことには気にも留めない大らかさがあり、これがレビンソンが好まれる理由なのだと分かりました。 試聴を続け自分自身に問いかけて今回は見送ることに決めました。 正直随分悩みました。 使いやすさを含めたトータルでの完成度は他の機器よりも高いのですが、一番重要な音の傾向が自分の方向性と違うということが最後まで気になりました。 確かに力強さは魅力ですが、もっと女性的な方が自分の好みに合っているようです。 「音の好み」という個人的な、ある意味で最も高い次元での試聴の機会を与えて頂いたことに感謝しながら次回に望みます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 4, 2007 05:57:10 PM
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