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構造文章編第16回(RC造 構造躯体) 構造-22 構造の問題は大きく構造力学(計算問題)と各種構造・建築材料(文章問題)に分かれます。ここでは、計算問題と文章問題を交互に紹介していきます。 構造(文章)16.RC造(構造躯体) 今回はRC造の文章問題の中から、コンクリートの構造躯体(ひび割れ・かぶり・クリープ)の問題をまとめました。 (問題は、一部修正しているものもあります。) ********************************************* 問題 コンクリート構造躯体 □ ひび割れ(2級) 1 鉄筋コンクリート造の建築物に発生したコンクリートの「ひび割れの事例」と「主な 原因」との組み合わせとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。(2級H16) 2 単位水量が大きくブリーディングが多いコンクリートは、一般に、コンクリートの打 ち込み後、数時間の間に、水平鉄筋に沿った沈みひび割れを誘発することがある。 (2級H29) 3 プラスティック収縮ひび割れは、コンクリートが固まる前に、コンクリートの表面が 急激に乾燥することによって生じるひび割れであるk。(2級H25,H30,R03) □ ひび割れ(1級) 1 鉄筋コンクリート造の建築物において、「躯体に発生したひび割れのパターンを示す 図」と「その原因の説明」との組み合わせとして、最も不適当なものは、次のうちど れか。ただし、矢印は力が作用している方向を示すものとする。(1級H17) 2 鉄筋コンクリート造壁付き剛接架構において、図のように矢印の向きに水平力を受け るとき、構造部材に生じる斜めひび割れ性状として、最も不適当なものは、次のうち どれか。(1級H22) 1 耐力壁に生じる斜めひび割れ「a」 2 柱梁接合部に生じる斜めひび割れ「b」 3 梁部材に生じる斜めひび割れ「c」 4 柱部材に生じる斜めひび割れ「d」 3 鉄筋コンクリート造の建築物において、図のような向きの鉛直荷重又は水平荷重を受け るときのひび割れ性状として、最も不適当なものは、次のうちどれか。(1級H25) 4 鉄筋コンクリート造の建築物において、「躯体に発生したコンクリートのひび割れの状況 を示す図」と「その原因の説明」として、最も不適当なものは、次のうちどれか。 (1級H29) 5 鉄筋コンクリート造の建築物において、「躯体に発生したコンクリートのひび割れの 状況を示す図」と「その説明」として、最も不適当なものは、次のうちどれか。 (1級R02) 6 地震時に水平力を受けるラーメン架構の柱の曲げひび割れは、一般に、柱頭及び柱脚 に発生しやすい。(1級H30) □ かぶり(2級) 1 コンクリートのかぶり部分は、鉄筋の腐食及び火災時火熱による鉄筋の耐力低下など を防ぎ、部材に耐久性と耐火性を与える。(2級H15) 2 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、部材の耐久性に影響するが、部材の強度 には影響しない。(2級H20) □ かぶり(1級) 1 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さについては、鉄筋の耐火被覆、コンクリート の中性化速度、主筋の応力伝達機構等を考慮して決定した。(1級H17) 2 鉄筋のかぶり厚さの最小値は、主筋の応力伝達のためだけではなく、鉄筋コンクリート 部材の耐久性・耐火性を考慮して定められている。(1級H27) 3 鉄筋コンクリート造の柱及び梁の主筋の継手に機械式継手を用いる場合、鉄筋径より 継手の外径の方が大きくなるため、継手部に配置するせん断補強筋の外面から必要か ぶり厚さを確保しなければならない。(1級H30) □ コンクリートのクリープ現象(2級) 1 梁においては、クリープによって、コンクリートの圧縮縁応力は減少し、圧縮鉄筋の 応力は増加する。(2級H19) 2 梁においては、クリープによって、コンクリートの圧縮縁応力は増加し、圧縮鉄筋の 応力は減少する。(2級H24) 3 クリープは、一定の外力が継続して作用したときに、時間の経過とともにひずみが増 大する現象である。(2級H25,H29) 4 クリープとは、コンクリートが固まる前に、コンクリートの表面が急激に乾燥するこ とによって収縮し、ひび割れが生じる現象である。(2級H27) □ コンクリートのクリープ現象(1級) 1 構造耐力上主要な部分である構造部材の変形又は振動により建築物の使用上の支障が 起こらないことを確かめる場合、建築物に常時作用している荷重による床及び梁のた わみについては、クリープを考慮して検討する。(1級H15) 2 長期間の持続荷重によりクリープ変形が生じた場合、その荷重を取り除くと、コンク リートに生じた変形は荷重載荷前の状態に戻る。(1級H22) 3 梁部材のクリープによるたわみを減らすために、引張側の鉄筋量を変えることなく、 圧縮側の鉄筋量を減らした。(1級H28,R04) 4 鉄筋コンクリート構造の梁において、圧縮側の鉄筋量を増やしてもクリープによるた わみを小さくする効果はない。(1級H24) ************************************************** 解説 コンクリート構造躯体 □ ひび割れ ① コンクリートの打ち込み後、練り混ぜ水の一部が上面に向かって上昇する現象をブリー ディングと言う。この現象により、水平鉄筋に沿った沈みひび割れ(沈みき裂)を誘発 する。 ② 水和熱が大きい(大断面、単位セメント量が多い)と、コンクリート内外の温度差によ りひび割れが生じやすくなる。 ③ 単位水量が大きいものは、乾燥収縮量が大きく、ひび割れしやすい。また、単位セメン ト量が大きく、単位骨材料が小さいものほど、乾燥収縮量が大きく、ひび割れしやすい。 乾燥収縮によるひび割れは鉄筋に沿って起こる。 ④ アルカリ骨材反応によるひび割れは、亀甲状を示す。 ⑤ コンクリートが固まる前に、コンクリートの表面が急激に乾燥することにより生じる ひび割れを、プラスティック収縮ひび割れと言う。 ⑥ 曲げひび割れ:曲げ変形の引張側に、材軸にほぼ直交方向に生じる。 ⑦ せん断ひび割れ:せん断変形(ひし形)における短い対角線に沿って斜めに生じる。 ⑧ せん断ひび割れ以外の斜めひび割れ ⑨ その他のひび割れ □ ひび割れ(2級) 1 1 〇 ブリーディングにより、水平鉄筋に沿った沈みひび割れ(沈みき裂)を 誘発する。 正しい 2 〇 大断面で水和熱が大きいと、コンクリート内外の温度差によりひび割れが 生じやすくなる。 正しい 3 〇 基礎の不動沈下によりせん断ひび割れが生じ、斜め45度方向にひびが入る。 正しい 4 × この事例は、かぶり不足による中性化が進行し、鉄筋の錆によるひび割れと 考えられる。 誤り 5 〇 亀甲状、網状のひび割れはアルカリ骨材反応によるひび割れの特徴である。 柱や梁のように部材がある方向に拘束されている場合、拘束方向(材軸方向) のひび割れを生じる。 正しい 2 〇 ブリーディングにより、水平鉄筋に沿った沈みひび割れ(沈みき裂)を誘発する。 正しい 3 〇 コンクリートが固まる前に、コンクリートの表面が急激に乾燥することにより生 じるひび割れを、プラスティック収縮ひび割れと言う。 正しい □ ひび割れ(1級) 1 2 鉛直荷重による梁のせん断ひび割れは、せん断変形で、対角線方向に引っ張られ、 引張方向と直交する不尾項二ひびが入る。 正解2番 2 4 柱のせん断変形「d」部は、壁と同じ方向(右下がり)にひび割れが入る。 正解4番 3 2 曲げひび割れは、変形の引張側にひび割れが入る。 正解2番 4 2 底面から接地圧を受けた独立基礎フーチングのはね出し部分は、側端部を自由端と した片持梁のような曲げ変形を示す。この場合下側引張となり、曲げひび割れはフ ーチングの下端に生じる。 正解2番 5 1 せん断ひび割れは、せん断変形の対角線に対して直交方向に入る。左下がりの性状 となる。 正解1番 6 〇 曲げひび割れは、部材の引張側に入るので、柱頭・柱脚が一番大きく引っ張られる。 □ かぶり ① コンクリートのかぶり厚さは、鉄筋の表面とこれを覆うコンクリートの表面までの最短 距離をいう。かぶり部分は、鉄筋を錆や火災から保護し、耐久性、防火性を高める。 また、部材の強度にも影響する。 ② コンクリートのかぶり厚さは、鉄筋の耐火被覆、コンクリートの中性加速度、主筋の応 力伝達機構等を考慮して決める。機械式継手の場合は、継手部に配置するせん断補強筋 の外面から必要なかぶり厚さを確保する。 □ かぶり(2級) 1 〇 かぶり部分は、鉄筋を錆や火災から保護し、耐久性、防火性を高める。また、部材 の強度にも影響する。 正しい 2 × かぶり部分は、鉄筋を錆や火災から保護し、耐久性、防火性を高める。また、部材の 強度にも影響する。 誤り □ かぶり(1級) 1 〇 コンクリートのかぶり厚さは、鉄筋の耐火被覆、コンクリートの中性加速度、主筋の 応力伝達機構等を考慮して決める。 正しい 2 〇 コンクリートのかぶり厚さは、鉄筋の耐火被覆、コンクリートの中性加速度、主筋の 応力伝達機構等を考慮して決める。 正しい 3 〇 機械式継手の場合は、継手部に配置するせん断補強筋の外面から必要なかぶり厚さを 確保する。 正しい □ コンクリートのクリープ現象 ① クリープとは、一定荷重の下で時間の経過とともにひずみが増大する現象を言う。クリー プによる変形は、荷重を取り除いても元には戻らない。 ② 梁の圧縮側断面においては、クリープによってコンクリートが縮もうとするため、クリー プしない圧縮鉄筋の応力が増加し、その分コンクリートの圧縮縁応力が減少する。圧縮側 の鉄筋は、クリープによるたわみを小さくする効果がある。 ③ 一次設計における剛性の検討(変形又は振動によって建築物の使用上の支障が起こらない ことを確認する)は、固定荷重及び積載荷重(地震力算定用)による最大たわみに変形増 大係数を乗じたものを部材の有効長さで除した値が1/250以下であることを確かめる。 変形増大係数は、クリープによる調整係数。 □ コンクリートのクリープ現象(2級) 1 〇 梁の圧縮側断面においては、クリープによってコンクリートが縮もうとするため、
クリープしない圧縮鉄筋の応力が増加し、その分コンクリートの圧縮縁応力が減少 する。 正しい 2 × 梁の圧縮側断面においては、クリープによってコンクリートが縮もうとするため、 クリープしない圧縮鉄筋の応力が増加し、その分コンクリートの圧縮縁応力が減少 する。 誤り 3 〇 クリープとは、一定荷重の下で時間の経過とともにひずみが増大する現象を言う。 正しい 4 × クリープとは、一定荷重の下で時間の経過とともにひずみが増大する現象を言う。 誤り 問題は、プラスティック収縮ひび割れの説明。 □ コンクリートのクリープ現象(1級) 1 〇 使用上の支障が起こらないことを確かめる(剛性の検討)は、固定荷重と積載荷 重により生ずるたわみに変形増大係数を乗じたものが部材の有効長さの1/250以下 であることを確認する。変形増大係数は、クリープの調整係数である。 正しい 2 × クリープによる変形は、荷重を取り除いても元には戻らない。 誤り 3 × 圧縮側の鉄筋をクリープによるたわみを減少する効果がある。 誤り 4 × 圧縮側の鉄筋をクリープによるたわみを減少する効果がある。 誤り 今回は、RC造の躯体編からひび割れ・かぶり・クリープについてまとめました。次回は構造計画・耐震計画から各部材設計に入っていきます、これからがRC構造のメインです! 今日はこんな言葉です! 「これをしたい」「こうなりたい」という強い意志と情熱を持ち、自ら学びにいき、自ら仕事を取りにいき、自ら技術を習得しにいく。その姿勢がなければ成長には絶対に繋がらない。(杉本 雄) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 26, 2023 05:47:35 PM
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