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カテゴリ:世に棲む日日
タイトルは、最近映画化もされた小川洋子著「博士の愛した数式」をもじりました。
小川氏のこの作品、数論と呼ばれる分野の数学者を主人公とする純文学です。 実は私、生まれてから最初にスポーツ系以外でなりたいと思った職業が数論の学者だったんです。この作品の中にも登場しますが、今から4世紀ほど前に生きたフェルマーが残した命題に「フェルマーの最終定理」とか「フェルマー予想」と呼ばれるものがあります。 「3 以上の自然数 n について、x^n + y^n = z^n となる 0 でない自然数(x、y、z)の組み合わせがない。」(「^」はべき乗をあらわす。) 残念なことにこの証明法をフェルマーは後世に残さなかったことから、4世紀に渡り世界中の数学者がこの証明に挑んだ、そんな大問題なのです。(幸いと言うか、残念と言うか、この証明法を1994年、イギリスの数学者ワイルズが見出してしまいました。) まさに私はこの命題の《 x^n + y^n = z^n 》という数式に憧れていたのでした。この作品を読んで、ふとそんな時代があったことを懐かしく思い出しました。 さて、作品についての感想ですが、この作品の解説を書いておられる藤原正彦氏が実に見事にまとめておられます。藤原氏とは、最近のベストセラー「国家の品格」をお書きになった数学者です。 いみじくも藤原氏も語っておられますが、数学者と言えば、「純粋」とか「奇人」のイメージが付きまとい、純文学と調和するのかといった先入観が働いてしまいますが、小川氏はうまくまとめておられます。ご一読をお勧めします。 ちなみに、私はこの作品を読んで、焼きぼっくりにちょっと火が付いてしまいました(笑)。10年以上、積んどく本になっていた講談社ブルーバックス「素数の不思議」をイッキ読みしてしまいました。 博士の愛した数式 博士と過ごしたひとときは、私とルートにとって本当に大切な時間でした・・・。角川エンタテイメント 素数の不思議 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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