その1_あしたのジョーとハードカバー。
例えばそれが冬の始まりのもしくは朝目が覚めて呟く一人の発声練習。声を出せば元気が出るって、いつか何処かで聞いた話。自転車こいで宮之阪。当時はまだブックオフも無くて、この辺で大きな本屋と云えばブックトピアと云う国道1号線沿いの大きなたたずまいの専門店。 昭和64の7日間と平成元年。今から丁度二十年前の1989年、当時僕は12才。小学校の6年生、もしくは中学に上がった頃だろうか?漫画雑誌や単行本、この頃の子供の娯楽と云えばそんなところだろう。もちろん僕も漫画が大好きだったんだけれども、色々読み尽くして、大人気だったドラゴンボールやらんま1/2に目もくれず、当時としても懐かしい、天才バカボン、墓場の鬼太郎、デビルマン、火の鳥、シュマリ等々、それらの漫画に魅せられていたのであった。 その中でも一番ハマっていたのは、なにを隠そうあしたのジョー。ちばてつや氏の漫画は既に週刊少年サンデーで連載されていたチャー.シュー.メンでお馴染み"明日天気になれ"を読んで致し、そもそも小学校の2年生の頃には高校生だった叔父に"映画版総集編あしたのジョー"をベーターMAXのビデオで見せてもらっていたのである。 古い漫画にハマっていた当時の僕が程なく発売が開始された"ハードカバー豪華愛蔵版「あしたのジョー」全16巻"の第一巻の発売日に学校帰り、寒い冬、大慌てで、先月から貯めていたであろう980円を握りしめブックトピアに向かったのは必然であった。 しかしおかしなもので、デビルマン、火の鳥然り、古い漫画のリバイバルであったため、新発売であるのだけれどいつも決まってハードカバーで発売されるのである。豪華愛蔵版と名売って発売されるそれらの本に小学生の僕が望んでいたのは、過去を懐かしむ為のコレクションではなく、新連載と変わらぬ期待感だけであった。つづく。応援よろしくお願いします。→アート人気blogランキング