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ファインダーの倍率は、使用者の慣れやメガネの有無などにも関係し、一概に大きい程好ましいとは言い切れないものがありますが、明るさに関しては、もっと単純かと思います。
今回は、ちょっと昔のカメラのファインダーの明るさについてのお話です。 構図を決め、シャッターチャンスを窺うファインダーは、やはり明るいに越した事はないでしょう。昭和40,50年代の一眼レフメーカーは、ファインダーの明るさにおいても、カタログなどで自社製品の優位性を競っていました。 この頃になると、さすがにどの一眼レフでも完全自動絞りが当たり前となり、撮影の瞬間以外は、常にレンズの絞りは開放状態を保てるようになっていました。即ち、撮影レンズを通った光をファインダーで見る一眼レフでは、どの機種でも装着したレンズ毎の最高に明るい状態のファインダー像を見れるようになっていたわけです。 こうして、レンズ側の絞りとカメラとの連動機構の問題が解決され、ファインダーの明るさは、同等の開放F値のレンズを取付けた状態では、専らカメラ毎のファインダー光学系に依存する事になりました。そこで、この頃の一眼レフメーカーは、ファインダーをより明るくするために、ファインダー光学系の中でも、特にファインダースクリーンの改良に、努力したようです。 当時のファインダースクリーンは、中央部にピント精度の高いスプリットプリズムやマイクロプリズムを、周辺部にマット面をそれぞれ配した構成でしたが、視野の大部分を占めるマット面の透過率を高めるための技術開発が進みました。 ところで、一眼レフのファインダーには、構図決定やシャッターチャンス待機以外にも、有益な利用法があります。 前述のように、完全自動絞りを実現した一眼レフでは、レンズの絞りは撮影の瞬間以外は常に開放状態で、このお蔭で明るいファインダー像が見れています。しかし、カメラ側の絞込みボタンを押す事で、設定してある絞り値まで絞込み、撮影時の画像のボケ具合を撮影前に確認する事が可能です。したがって、撮影者の意図するボケが得られるように、撮影前に絞りを加減できるわけです。 ボケ具合はファインダースクリーンのマット面の透過率と無関係ではなく、無闇に明るくすると、ボケの見え方が実際に撮影される状態と異なってしまうようです。 ピント精度、明るさ、ボケの見え方。どの一眼レフメーカーも、これらのバランスを踏まえつつ、ファインダーの明るさ向上に取組んでいたと思われます。ミノルタ(現コニカミノルタ)が昭和52年に発売したMinolta XDなどで採用のアキュートマットスクリーンはその成功例で、高い評価を受けました。 ところが、新機能の登場で、こうした状況に変化が生じます。オートフォーカスの本格化がそれです。 一眼レフのオートフォーカス化は、大分前から検討されており、実際に発売された製品もありますが、昭和60年のMinolta α7000の登場で一気に加速しました。以後、多くの一眼レフメーカーから、オートフォーカス機が発売されていきます。 ピントはカメラ(またはレンズ)が合わせる以上、ファインダーのピント精度はあまり要求されなくなりました。明るさの追求が至上命題のようになり、これに伴ってボケの見え方への配慮もないがしろにされがちだったように思われます。 尤も、オートフォーカス機全てが、ファインダーに魅力が乏しいわけではありません。PENTAX Z1-PやMinolta α-9など、秀逸なファインダースクリーンを備えた機種も発売されました。先日カメラ店で触れたNikon F6も相当な出来栄えで、ファインダースクリーンの改良のみならず、プリズムの硝材にも従来の2倍以上のコストをかけたそうです。 ピントは追込んでいくものと思っている私は、オートフォーカスは嫌いです。それでもファインダーの優れたオートフォーカス機なら、マニュアルフォーカスのレンズを組合わせれば、楽しめそうな気がします。質感、操作感の高いマニュアルフォーカスレンズの存続を、願って已みません。 Nikon F6です。マニュアルフォーカスのニッコールレンズはもちろん、レンズアダプターさえあれば、レンズ情報の登録により、どのメーカーのどのレンズでも(!)RGBマルチパターン測光が使えるとの話もあります。尤も然るべくして高額な物なので、本気で欲しい方は最安値を探しましょう。これはあくまで楽天内で見つけたものですので^^(F6の画像が欲しくて…) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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