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さて、どうしようか・・・

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2013.06.04
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カテゴリ:雑談
ジャズがメロディからの自由を獲得したのと時を同じくして、もう一つ獲得した自由がある。歌詞だ。これはもう有名な逸話が残っている。山寺宏一扮するところのサッチモことルイアームストロングがボーカルを吹き込む際、歌詞を忘れた。とっさに彼は「シャバドゥビダバダバ〜」とアドリブでやった。これがスキャットの始まり。

これはサッチモの確信犯だったとか、歌詞カードを譜面台から落としたとかいろいろな説があるが、歴史はそのときどきの権力者によって改変されることもあるわけで、その細部の事情は重要ではなく、いかに本質を見抜くか?というのが大事なのであり、やがて、大橋巨泉の「ハッパフミフミ」タモリのハナモゲラへと続く言葉の解体がこの時始まったのは間違いがない。エラフィッツジェラルドのスキャットアドリブソロが好きです。

さて、バンジョーも軽やかなデキシーキングスが「地球の上に朝がきた〜、その裏側は〜夜だろ〜」と歴史的なフレーズを残した後、ジャズはダンス音楽として洗練され、ベニーグッドマン、グレンミラーなどのスウィング、ビッグバンド時代を迎える。映画「スウィングガール」のアレだ。

ビッグバンドではアドリブソロが効果的に挿入されはするが、あくまで全体の構成の中での部分であり主役はダンス音楽としてのノリとわかりやすさ。バンドマスターという天皇陛下のもと許された権利を行使することしか許されなかった。

そんな演奏に飽き足らず、生業としてのバンド演奏を終えた後、深夜のクラブで自由に、思う様アドリブ演奏を繰り広げるミュージシャン達が現れた。統制された演奏に抑圧された自由な精神が溢れ出したのは当然の成り行きだったと思われる。

って書けばかっこいいけど、要はマイクを離さないカラオケおじさん状態だったのかも。だって、ビッグバンドでのアドリブソロってほんの一瞬。それでなくても「俺が俺が」のミュージシャンがそれで満足できるわけがないわけで、ひとたびソロが回ってくるや、延々と演りたかったのだろうことは想像に難くない。欲求不満だったのさ。

ビーバップの誕生だ。それまでダンスの伴奏として位置付けられていたジャズが、鑑賞する音楽としての地位を手に入れたとも言える。主役はバードことチャーリーパーカー。そして、この深夜のセッション大会の中でジャズの重要な要素が鍛えられていく。それはコールアンドレスポンスと呼ばれる。

例えば今サックスが「えへらぴ〜」と吹いたとする。するとピアノが「ぱぷりぽん」と受け、同時にドラムが「だばとととん」と反応する。ベースは意に介する事なく「ぶんぼんぶんぼん」とリズムをキープするが、ピアノにインスパイアされたサックスが「してらの〜にや」と吹くに至ってはガマンならず「どどどぶ〜ん」と反応してしまう。すかさずドラムが「ずたっ」と合いの手を入れると、もはや容赦のない悪役キラーカーンと化したビアノは禁じ手のフォーク攻撃。受けるドラムことアントニオ猪木はブレンバスターからアメリカンデスロック、締めはコブラツイストで…。

とまあ、ことほどさようにコールアンドレスポンスとは恐ろしいまでに人を魅了する麻薬的な作用を持つわけであったのだ。ただし、このことと多くのミュージシャンが麻薬を愛好するようになったのとは関係がないことを言添えておかねばなるまい。

で、お気づきのように(ほんとか?)このコールアンドレスポンスこそが弁証法的なのだ。Aというフレーズに対してBというフレーズが示され、結果Cというフレーズを導き出す。テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼの関係に擬せられる。ここが大事なところで、AもBも互いに否定し合うのではなく、新たなCというフレーズに昇華していく。しかも、それで終わりではなくCに対してさえ新たにDというフレーズが示されれば別の展開を考えなければならない。素晴らしいではないか。永遠の進化であり深化である。我々もこうありたい。

もはや原曲がわからなくなるほどのインプロビゼーション(アドリブをカッコ良く言いたい時はこう言う)と、高速テンポで自由を得たかに見えたジャズであったが戦いのリングとして共有すべきルールはまだ存在した。すなわちコード(和音)とリズムだ。

ジャズはまず手始めにコードからの解放を求めた。

(一部、山下洋輔の文体をパクりました。ゴメン)





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Last updated  2013.06.04 00:18:00
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